◆中京芝を経験済みの馬は2頭のみ 新中京コースの距離1400mになって、まだ今年が3回目。過去2回は大波乱になっているから難しい。2年前は現在とはまるで芝コンディションの設定が違って、さらには重馬場とあって1分24秒0も要している。みんなが慣れていないから、ペース判断もスパートの位置も難しかった。
昨年は良馬場で1分22秒2。しかし、1400mのスプリント重賞なのに、ハナに立った馬の前半3ハロンが34秒9だから、まるで中距離戦のような緩いペース。最初からレースが壊れていたようなところがあった。
今年の場合も、人馬ともに中京コースの1400mに十分に慣れているとはいえず、中京の芝に出走経験があるのは、
タガノグランパと、
ウインスプラッシュ。たった2頭のみ。16頭は初コース。さらには、距離1400mで勝っている馬も半数にも達しないから、きわめて怪しい基盤設定の上で行なわれるスプリント重賞といっていい。
また、これは表現が難しいが、最初はスプリント路線や、さらにはこのあとの当面の最大目標になるNHKマイルCに続く路線を展望していたわけではなく、本当は皐月賞や、牝馬なら桜花賞を目標にしていたが、どうも理想とする距離が違うかもしれない。スタミナ不安、総合スピード能力に不安を感じたから、この路線に転換した馬がいることは否定できない。
それぞれの馬には、得意とする距離があるけれど、距離適性と、能力に関係する表現ほどニュアンスの難しいものはない。豊かなスピードがある。豊富なスタミナがある。というのは、前後になにもなければ誉め言葉だろうが、ちょっとしたことで、前者はスタミナがない。後者はスピードが乏しい、という意味になりかねない。クラシック路線から方向転換し、ファルコンS1400mに挑戦するのは、あくまで距離適性を考えてのこと。豊かなスピード能力に真価があるという意味にしておきたい。
◆レベルが高い今年の有力馬 過去2年と比べ、今年の有力馬のレベルはかなり高い。重賞を3勝もしている現5歳馬クラレント(父ダンスインザダーク)の下になる
サトノルパン(父ディープインパクト)は、きさらぎ賞でもさして見劣りしなかった。皐月賞を目指しても少しも不思議はないと思えるが、現時点では特に折り合いを問われない1400mの方が持てる能力を発揮しやすいとする判断だろう。前回の東京1400mでみせた上がり33秒0の切れは、母の父ダンシングブレーヴ譲りの爆発力に、父ディープインパクトの鋭さが重なったように映った。
ショウナンアチーヴは、朝日杯FSで直線一度は先頭に立つシーンがあっての中身十分の2着。父ショウナンカンプは中京の高松宮記念を圧勝している。母ショウナンパントルはその2年後の阪神JFの勝ち馬。早熟系のスピード型ではなく、これからまだまだ成長するタイプである。
この2頭と並ぶ評価を受けると思えるタガノグランパ(父キングカメハメハ)を中心にとりたい。アーリントンC、シンザン記念の内容から、控えて差す形になれば距離2000m級でも平気と思えるが(12月のラジオNIKKEI杯は0秒3しか負けていない)、サトノルパンと同じで、現時点では短距離の方が持てる力を発揮しやすいから1400m重賞への出走なのだろう。この距離【2-0-0-0】。それも2走前にこの中京コースで1分21秒0(上がり33秒8)を楽に記録しているから、望めばクラシック出走可能な賞金額だが、あえて勝算十分のここに回ってきた感もある。東京スポーツ杯を制したタガノテイオーが代表するファミリーは、ヨーロッパのクラシック血統でもあり、ハイペース追走の厳しい流れになるほど、底力を発揮して台頭の期待が持てる。
人気上位馬が、もっと距離がのびてもOKの総合スピード型の今年は、過去2年のような難解な結果ではないかもしれない。
柔らかい身のこなしで2戦2勝の
カラダレジェンド、2走前の切れが光る
タガノブルグが連下候補。
ネロ、
シゲルカガあたりも例年のレベルなら連の相手にしたいが、今年は恵まれないと苦しい気がする。