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◆凱旋門賞挑戦を糧に大きくスケールアップ 注目のチャンピオンがそろった大阪杯を完勝した
キズナ(父ディープインパクト)は、3歳時より大きく成長し、期待以上にたくましくなっていた。予想された通り伏兵カレンミロティック、トウカイパラダイスなどが先導したレースの中身は、
▽前後半「60秒5-59秒8(レース上がり36秒3)」=2分00秒3
2番手から抜け出して粘った
トウカイパラダイス、逃げて少差4着の
カレンミロティックは、ともに自然な平均ペースで先行することにより、GII・GIIIで勝ち負けしている能力をほぼ出し切ったとしていいだろう。
キズナのテーマは、最大目標の凱旋門賞再挑戦に向け、さらに追い込む戦法に鋭さとパワーを加えること。凱旋門賞のゴール寸前で鈍らないような持続する末脚を身につけることである。
キズナ自身のレースバランスは、推定「63秒2-57秒1」=2分00秒3で誤差は少ないと思える。離され過ぎではないかと思えるほど前半は助走に徹し、自身の後半1000mは推定、
「11秒7-11秒5-11秒0-11秒2-11秒7」=57秒1(上がり33秒9)だった。
ハロンごとの誤差は0秒1-2あるとしても、楽々と後半1000mをすべてハロン11秒台でまとめている。それでゴール前はまだ余力のストライドだった。天皇賞(春)を前にした6カ月ぶりの始動戦とすると文句なしである。
3歳春のダービーは、ライバル=
エピファネイアとそっくり同じ馬体重478キロ。あの当時と比較すると、20キロ増の498キロ。休み明けとあってお互いに多少なりともチャカつきながらの馬場入りだったが、仕草からしてまだまだ若く頼りない気配を残すエピファネイアを、競走馬として身につけた「自信」で上回っているように映った。あの時点で勝負ありである。
3歳時の海外遠征はプラスとなることも多いが、中には打ちのめされて自信喪失のスランプを招くこともあるとされる。キズナは、トレヴやオルフェーヴルや、英ダービー馬ルーラーオブザワールドなどと世界のビッグレースで戦った経験を、大きなプラスとして受け入れたのである。凱旋門賞挑戦を糧に大きくスケールアップしている。
エピファネイアのテーマは、同じように約半年ぶりの実戦だったから、当面の目標とする香港のクイーンエリザベス2世C(27日。2000m)に向けてのステップの一戦。菊花賞時とほぼ同じ484キロの馬体は十分に仕上がっていたが、迫力のあるキズナに比べると、やや線が細く映った。これは父シンボリクリスエス譲りのスマートな体型もあるから関係ないだろうが、チャカつく仕草がなぜか幼く映った。
始動の1戦だから、別に負けるのはかまわないが、好スタートから下げてレース中盤はキズナのちょっと前の位置取り。2000m前後の路線に目標を置いたエピファネイアとすると、あの位置で前半1000m通過62秒5(推定)は、あまりテーマに沿っていないようにも思える。負けたくないライバル=キズナを多分に意識した、あえての後方追走だったかもしれないが、結果は追い込みに徹するキズナにとって格好の目標になっている。
一歩早くスパートを開始したが、トップスピードの差は歴然。外から並ぶまもなく抜かれてしまった。伸びが鈍っているわけではなく、まだ脚は残っていた。エピファネイアの上がりは「34秒4」。抜け出して粘っていたトウカイパラダイスの上がりは「36秒4」。
平均ペースで先導した先行の伏兵から2秒以上も離され、上がりで2秒も上回りながらの3着止まりは、ゴール前まだ伸びていたからステップの前哨戦としては悲観する内容ではないが、今回の2000mではキズナ(当然のように最後方に控える)を封じて不思議ないという期待の1番人気馬とすると、ファンには不満足の凡走だろう。このあとの香港では、ぜひ、不名誉な3着を補ってあまりある快走を示してほしいものである。
メイショウマンボは明らかに腹目が巻き上がっていた。牝馬の充電=オーバーホールの立て直しは、チャンピオン牝馬だけに(中途半端なデキでは出走できないから)、ほかの牝馬よりかえって難しいのだろう。幸四郎騎手が3コーナー過ぎで股間から後方を見ていたくらいだから、道中の動きは決して悪くはなかった。昨年の桜花賞でも10着に大敗したことがあるから、「この時期の牝馬は難しい」、という理由で今回の凡走はなかったことにしてあげたい。ただ今回は、マイナス8キロの数字以上に、あのメイショウマンボとすると体つきが寂しく平凡にみえた。
6歳
ショウナンマイティは、まだまだ復調の途上。雪で調整日程の狂った東京新聞杯を使ってしまったため、前走が復調途上での大ダメージとなった心配がある。