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輝くハープスターは本物/桜花賞

  • 2014年04月12日(土) 18時00分


◆一段と重要性を増す桜花賞

 近年の桜花賞は、まだ幼い3歳牝馬の春の先駆けにふさわしい、軽快なスピード重賞にとどまるものではない。生産界の進展につれて、以前よりまた一段と競走体系の中で重要なレースになっただけでなく、生産界の向かうべき方向を明らかにしてくれる。勢いに乗る時代の流行血脈の隆盛を示しながら、次代を予言することさえある。

 とくに新阪神コースになった2007年以降の快走馬は素晴らしい。ダイワスカーレット、ウオッカ、ブエナビスタ、レッドディザイア、アパパネ、マルセリーナ、ホエールキャプチャ、ジェンティルドンナ……。春の3歳牝馬の主役が明らかになること、すなわち、やがて日本のチャンピオンに育つエース級の登場でもある。牝馬のレベルが高い年があるどころではなくなっているところが、すごい。

 今年のハープスター(父ディープインパクト)は、桜花賞の前からすでに、秋には凱旋門賞に挑戦するのではないかとされている。トレヴ、デインドリーム、ザルカヴァ級でも、さすがに春の時点で凱旋門賞うんぬんはなかったと思える。強気な大展望は、希望あふれるリップサービスとしても、だれも笑ったりしないのだから、考えてみれば素晴らしいことなのである。やがて、これらの牝馬たちの資質は次代に受け継がれ、ハープスターがベガの孫世代であるように、さらに次の世代にもその優秀性が連続するから、若く幼い牝馬の桜花賞の重要度は、その地域の競馬レベルが高まるごとに、さらに一段と重要性を増すことになる。

 新潟でのハープスターの快走は、仕上がりの早い、典型的な平坦巧者の占める割合も否定できないから、最初は半信半疑の部分もあったが、阪神JF、そしてチューリップ賞の内容から、エース級の牝馬であることは間違いない。

 いざ、馬券を買う段になると、あまりにもかぶりすぎではないか、陣営は吹きすぎたのではないか、賭け率が実際の能力関係と遊離しすぎではないかと、少し尻込みしそうだが、断然の候補であることは少しも揺るがない。18番も、どのみち外に回るこの馬には少しも不利ではないだろう。好枠にも近い。素直に信用する。

 レッドリヴェールが型破りの臨戦過程を選択しているから、相手は一長一短、能力接近と思える。魅力は、前回ずっと外からなし崩しに脚を使ったうえ、大事な4コーナーで振られたアドマイヤビジンとしたい。ここ一番のビッグレースでは、大胆な位置につけ、早めにスパートの手もある。行くだけの伏兵はともかく、先行グループは厳しいハイペースにはまずならないと思える。相手が強いのだから、強気にスパートがありである。タマモクロスの妹が3代母で、その父はカブラヤオー。もう伝える影響力はわずかだろうが、クロフネ産駒の中では底力を秘めたマイラーだろう。

 レッドリヴェールは、決して評価は下げたくないが、といって強気に買いに出るには死角がある。フォーエバーモアとともに、消すことはできない候補にとどめて、マーブルカテドラル、ここ一番向きの切れを秘めるヌーヴォレコルトをアドマイヤビジンに次ぐ相手2番手候補にしたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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