◆桜花賞も皐月賞も大手牧場が独占状態
GIの第1弾、ダートのフェブラリーS。第2弾、スプリントの高松宮記念。毎年、ここまでは日高の牧場にもチャンスはある。しかし桜花賞、皐月賞を迎えると状況が一変する。
今年も桜花賞は、1着がノーザンファーム、2着と3着が社台ファーム。皐月賞は1着が社台コーポレーション白老ファーム、2着がノーザンファーム、3着がビッグレッドファームだった。社台グループのほぼ独占状態となっている。
社台グループ以外で食い込めるのは、ビッグレッドファーム、下河辺牧場、千代田牧場、高昭牧場といった牧場と、外資の牧場ぐらいのもの。日高の多くの牧場がなかなか馬券に絡んでくれない。この格差は2000年代に入って顕著で、それが年々激しくなっている。小が大を食う逆転劇や、マイナー血統がメジャー血統を負かす痛快劇は、もはや遠い過去の話となってしまった。
しかし馬券という視点では、極めてわかりやすい構図だ。要は社台グループの生産馬を中心に、ランキング上位の厩舎と騎手、外国人騎手を絡めて買えばいい。マイナーな牧場、厩舎、血統、騎手を買っても、まず馬券が当たらない。
この格差を埋めるには日高のレベルアップを望むしかないが、血統、設備、育成、英知、外厩…、何もかもが違いすぎる。ただ、順風満帆に見える社台グループも、不安が見え隠れする。ディープインパクトの良血馬(高額馬)が全体に不振なのだ。
今年、確かにハープスターが桜花賞を勝ったが、出走したのは1頭のみ。皐月賞は4頭出走して1頭も馬券に絡まなかった。抜群の勝ち上がり率を示すわりには、昇級戦で伸び悩む馬が目立つ。数々の記録を打ち立てるディープインパクトだが、父サンデーサイレンスのような凄みが感じられない。
ディープインパクトが老いぼれフジキセキに負ける。その意外性が血統や競馬の面白さでもあるが、ディープインパクト産駒を高く売っている社台グループとしては、むしろ困った問題だろう。しかし、それで格差の溝が埋まる、昔の競馬の姿に戻るというネガティブな考え方は、日本競馬の衰退につながる。時間はかかっても、日高の牧場のレベルアップを期待するしかない。