◆柴田未崎騎手、平地最後の勝利となっている福島で騎乗
先週、柴田未崎騎手が今年3月の再デビュー以来初めて馬券に絡んだ。4月19日、土曜日の中山第2レース。13番人気のカシマブレインを3着に持ってきたレースが、それだ。複勝は3580円もつき、3連単は18万円馬券となった。
再デビュー1週目の3月1日と2日の騎乗はひと鞍ずつだった。2週目は騎乗馬なし。3週目は土曜日に6鞍乗り、うち3鞍で8着。再デビュー後初めて賞金(出走奨励金)を稼いだ。7週目の4月12日、土曜日の福島第8レースでは12番人気のクレムリンシチーで4着に突っ込んできた。再デビュー後初の掲示板である。そして、8週目、前述したように馬券に絡んだ……といったように、少しずつ、だが着実に勝利に近づいている。
チャンスがふくらんでいることを感じていると同時に緊張感も大きくなっているだろうが、再び騎手として舞台に上がったからこその緊張感なのだから、とことんまで味わい、味わえる幸せにどっぷり浸かってほしい。
今、過去のデータを引っ張り出してみたところ、彼が3着になったのは2011年の2月13日の障害未勝利戦以来3年2カ月ぶりのことだった。平地で馬券に絡んだのは、08年7月19日の準オープン、越後ステークスで3着になって以来5年9カ月ぶりだった。それだけのことをいつのまにかやってしまったのだから、久々の勝利も無我夢中のうちに挙げてしまうだろう。
一度目の騎手人生における最後の勝利は10年3月20日の障害未勝利だったから、4年1カ月前だ。平地での最後の勝ち鞍は04年6月20日だから、9年10カ月前。
これだけ長期間におよぶ間隔を置いて勝利を挙げた騎手というのは、調べたわけではないが、日本にはいなかったのではないか(アメリカあたりはなんでもアリという感じがするので、いるのかもしれないが)。ぜひ実現させて、応援している家族や友人たち、そして私たちファンを喜ばせ、勇気づけてほしい。
こう書くことでプレッシャーが増すかもしれないが、それを感じられることも、先述したように、騎手であるからこその幸せのひとつとだと自身に言い聞かせて、存分に味わってほしい。
今週、彼は福島で騎乗する。もっかのところ平地最後の勝利となっている04年6月20日のレースも福島だった。
4月26日、土曜日の第10レースの騎乗馬は、再デビュー後初の掲示板となったクレムリンシチーだ。そして、日曜日唯一の乗り鞍である第2レースには、先週5着からの連闘となるフヨウアーミーデーで臨む。このふた鞍はわりとチャンスがあるのではないか。
福島からいい報せが届くのを待ちたい。
本当は、吉報を待っているのではなく福島に飛んで行きたいところなのだが、土曜日は東京競馬場で野暮用があり、日曜日は、横浜・根岸の「馬の博物館」で行われる、グリーンチャンネル「草野仁のGate J.プラス」の公開収録に立ち会うことになっている。草野さんの番組のゲストは歌舞伎俳優の二代目市川春猿さんだ。収録は、14時から、馬の博物館地下1階イベントホールで行われる。私は、今年から始まった新コーナー「歴史でQ」という競馬史に関するクイズコーナーの問題づくりをしており、急な変更があったときなどのため現場にいるようにしている。
その日、4月27日の午後、横浜近辺にお住まいで、特に用事がなくてどうしようかなあ、なんて考えている人がいたら、ぜひ、馬の博物館に遊びにいらしてください。
さて、ほどほどにしないとうるさがられるからちょっとにするが、最後に得意の我田引水の手前味噌を。
4月16日に発売された自著『誰も書かなかった武豊 決断』の売れ行きが好調で、本稿を書いている時点で第5刷まで増刷されることが決まった。消費税増税という逆風のなか、よく頑張ってくれていると思う。
市場というのは、案外ストレートな反応を示す一面があって、武豊騎手の本の場合、彼のレース結果によって、週明けの動き(売れ方)が変わってくる。先週の皐月賞では彼のトーセンスターダムが11着に敗れてしまったので、『決断』発売後最初の週末ではあったのだが、大爆発とまでは行かず、中爆発に終わった。
今週、武騎手は土日とも11鞍に騎乗する。マイラーズカップのフィエロなど、何頭か有力馬がいる。ここで固め勝ちし、そして来週、キズナで春天をぶっちぎってくれたりしたら、『決断』にもグーンと勢いがついて、6刷、7刷とさらに重版がかかるだろう。
もちろん、そうでなくても応援するが、今週末は、武豊と柴田未崎という、贔屓の騎手ふたりの動きを追いながら、せこせこと仕事をこなしたい。