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天皇賞春とステップレース

  • 2014年04月29日(火) 12時00分


◆阪神大賞典、日経賞、大阪杯組成績の過去11〜20年と近10年の移り変わり

 天皇賞春に向かう重要なステップレースには、阪神大賞典、日経賞、大阪杯の3つがある。

 これらのレースから天皇賞春に向かった馬たちの過去10年成績……ではなく、先に「11年前〜20年前の前走レース別成績」を見ると、このようになる。

前走レース 着度数  複勝率 複回収率
阪神大賞典 4-5-6-29/44 34.1%  47
日経賞   2-3-3-22/30 26.7%  72
産経大阪杯 2-0-1-15/18 16.7%  35

 人気サイドの決着が多かったので回収率はどれもパっとしないが、複勝率は阪神大賞典→日経賞→大阪杯の順で、本番の距離に近い順になっている。

 では、ここ10年はどうか。

前走レース 着度数  複勝率 複回収率
阪神大賞典 3-0-3-45/51 11.8%  98
日経賞   2-5-2-36/45 20.0%  99
産経大阪杯 2-3-2-17/24 29.2%  90

 全体に波乱が増し、複勝率は大阪杯→日経賞→阪神大賞典の順。ひとつ前のディケイドとは真逆の傾向となっている。

 天皇賞春で単勝10倍未満に推されていた人気サイドの馬に限っても、大阪杯組が複勝率71.4%なのに対し日経賞は50.0%、阪神大賞典に至っては26.7%。この10年間で6頭の「阪神大賞典組の1番人気馬」が馬券の対象から外れ(勝ったのはディープインパクトのみ)、危険な人気馬を量産している感もある。

 今年は3レースとも優勝馬が出走してくるが、これでいくと有利なのはキズナ→ウインバリアシオン→ゴールドシップということになる。ただ、馬の血統や戦歴で言うと、それはステイヤー色の薄い順でもある。過去の傾向と最近の傾向、最近の傾向と個体としての馬たち、それぞれ別々なものを示唆するところが今年の天皇賞春の難しさだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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