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NHKマイルC有力馬たちの血統

  • 2014年05月09日(金) 12時00分


◆内国産4代GI勝ちが懸かるショウナンアチーヴ

 ワールドエースが復活して喜んだのも束の間、今度はキズナが戦線離脱となった。オルフェーヴルがターフを去った今年、代わりを務める牡馬のエースとして期待していただけに残念だ。これで凱旋門賞のリベンジも白紙の状態となった。

 よく走る血統、よく走る馬の宿命とはいえ、ディープインパクトの一流牡馬はどうもひ弱い。強さのなかに繊細さが同居している。かといって、育成や調教で負荷を与えないで大事に扱えば、成長の伸びを欠く。そこが難しい。

 それに比べて牝馬のジェンティルドンナのなんと逞しいことよ。昨秋、ジャパンCで気まぐれ番長オルフェーヴルを、体当たりで弾き飛ばすスケバン刑事ぶりを発揮。今春はドバイシーマクラシックに遠征して、堂々たる走りで戴冠のゴールを駆け抜けた。

 今週のNHKマイルCに出走予定のミッキーアイル、サトノルパンたちも、おそらく強さと脆さが同居しているだろう。だが、ディープインパクトの本質はスピードと瞬発力。産駒のワンツーがあっても不思議はない。

 もっとも個人的には、ショウナンアチーヴを応援している。ショウナンカンプ産駒のGIの底力が心配になるところだが、母のショウナンパントルは阪神JFを勝ち、最優秀2歳牝馬に選ばれた名牝。近親にもザッツザプレンティ(菊花賞)、ディープブリランテ(日本ダービー)、バブルガムフェロー(天皇賞・秋)といった一流馬がずらりといる。

 この母にして、この名牝系の母系なら、GIIのニュージーランドトロフィーに次いで、GIのNHKマイルCも好勝負は可能とみる。母系の大切を教えてくれる馬だ。勝てばサクラユタカオー、サクラバクシンオー、ショウナンカンプに次ぐ、内国産4代のGI勝ち馬が誕生する。それもまたいい。

 ロサギガンティアは皐月賞で10着に沈んだが、フジキセキ産駒は東京のマイルコース、むろんNHKマイルCにも強い。イスラボニータが皐月賞を勝った血の勢いもある。やっぱり軽視はできないか。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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