短、中、長と距離別のレース体系に沿って競馬は行われ、それによって認識するものは深くなりました。そうした中、スピードを重視する考え方が強くなり、馬の力を比較する尺度にタイムを取り入れ、場合によってはそれが全てという見方もなされるようになりました。
分かりやすいと言えばこれに勝るものはなく、かくして、その流れにまず沿ってみようとなっていくのです。
ところが一方で、競馬はタイムレースではないとうんちくを傾ける意見も根強く残っています。状態、展開、騎乗ぶり、それに距離、馬場と要素をいくらでも取り上げ、さらには血統とくれば、とうてい結論までは辿り着けません。しかし、ちょっと競馬と付き合ってくれば、どれもが大切というは思いにはなってくるものです。
このように、突き詰めていって煮詰まってしまったというのが、今の競馬ではないでしょうか。
競馬はずっと面白いものです。様々なことがそのレースには内蔵されていて、今その尺度とされている以外のものもあります。とにかく、もっと楽しめる筈のもので、そうでなければ、世界中でこんなにも多くの人が関心を示す筈がありません。
競馬場にいる楽しさ、テレビでレースを見る楽しみ方、わくわくするものがもっと前面にでてこなくてはならないのではないでしょうか。
その重要な点として、馬そのものをもっと知ることが挙げられます。じっと馬を見つめていて伝わってくるもの、それは、とにかく見ないことにはどうにもならないものです。顔ひとつ取り上げても、それぞれの違いがあります。全体の雰囲気から伝わってくるものもそれぞれです。そういうスタンスで競馬を見たり、或いは伝える側は、その点に留意すべきなのでしょう。わくわくするもの幅を広げるよう努力したいと思います。