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待望のモレイラ来日

  • 2014年06月03日(火) 12時00分


◆モレイラの名前が日本の競馬ファンにも広く浸透したのは昨年9月の「8戦8勝」
 今週の安田記念には、香港からグロリアスデイズが参戦する。過去2回の安田記念が14着と11着なので馬のほうはかなり厳しいと思うが、楽しみなのはモレイラ騎手の来日だ。

 モレイラの名前が日本の競馬ファンにも広く浸透したのは、昨年9月の「8戦8勝」だろう。シンガポール・クランジ競馬場で見習騎手戦を除く8レースに騎乗し、8レース全てで優勝したのである。

 香港に転じる前、シンガポールの最後の時期は本当に圧倒的な存在で、勝率は4割に達していた。シンガポールにおける有力ライバルが引退したり長いサスペンションを課せられたりとラッキーな面はあったが、それだけでは説明のつかない次元の活躍をしていた。

 より賞金が高く、世界の競馬先進国に繋がる度合が高い香港に転じてからも、その勢いは止まらない。2013-14シーズンでは6/1現在リーディング2位。100勝をあげているパートンに後れをとってはいるものの85勝をあげ、かつての横綱・ホワイト(80勝)を上回っている。勝率はパートン17.5%、ホワイト15.4%に対して21.4%だから、その優秀さがお分かりいただけるだろう。ちなみに複勝率は49.1%で、半分近いレースでシングルトリオ(3連複)に絡んでいる。

 大レースにも強く、今年のドバイワールドカップ開催ではアンバースカイでアルクォズスプリントを、スターリングシティでゴールデンシャヒーンを制した。

 日本の短期免許を得るためには競馬先進国のリーディング上位に入るか国際G1での実績を積まなければならないため、シンガポール時代は「上手いのは分かっているが、呼べない」という理不尽な状況に陥っていたモレイラ。しかし、今後は短期免許を取る機会もあるだろう。

 その前に、まずは今週のスポット参戦である。これまで香港騎手の「連れてきた馬での成績」は芳しいものではなく、ホワイトを除けば回収率が単複とも30%台という惨状を呈していた。また、チャドウィックのように左回り未経験の状態で府中に呼ばれるなど、不運な面もあった。

 しかしモレイラはそもそも騎手としてのレベルが違うし、左回りのシンガポール、右回りの香港でともに結果を出している。今週どの程度「安田記念以外の乗鞍」が集まっているのか心配だが、チャンスのある馬に乗れば結果を出してくれるだろう。個人的にも「モレイラ全部買う会(安田記念は除く)」を結成して迎える所存である。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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