◆過去の安田記念で好走している調教パターンも重要視した上で最適な◎を打つことができれば、高い確率で良い予想結果になる 先週の日本ダービー。パドックを見ても、ワンアンドオンリーを推奨することはできず、私にとっては、最終追い切りの印象のままでレースを迎えました。しかし、レースでは、直線の叩き合いを制して優勝。理論通りに予想した◎アドマイヤデウスが7着に敗れ、橋口弘次郎調教師が、念願の日本ダービー制覇という、複雑な心境になりました。
時として、客観的なデータを度外視して予想するべきなのか。しばらくの間、その問いに対して、答えを迷っていましたが、これまで行ってきた予想は、すべて、主観と客観をバランスよく維持してきたつもりです。この勝利をきっかけに「ある時は主観」なんて、やってしまうと、やはり予想バランスが崩れてしまうと思います。
逆に、今年の日本ダービーでも客観的データを重視したのだから、これからもその気持ちは不変であるべきだと思いました。◎を打たなかったとして、普段から親しく取材させていただく関係者が優勝すれば、それはそれとして、割り切ればよいのですから。
そんなわけで、今週の安田記念も、主観的な見方はもちろん、過去の安田記念で好走している調教パターンも重要視した上で、最適な◎を打つことができれば、高い確率で良い予想結果になると思っています。
【安田記念/ジャスタウェイ】
ドバイ遠征の疲れなど皆無、帰厩してからの様子を見ていると、まだまだ成長途上といった感じで、どんどん良化していく印象です。それは、普段の坂路馬場でのキャンターを見ていて、特に強く感じていますが、追い切りの動きも半端なく素晴らしいと思います。1週前追い切りではエアウルフにあっさりと先着。ラスト1F11.9秒は過去の自己ベストラップです。
最終追い切りは坂路でコレクターアイテムとの併せ馬。先週よりもセーブする内容でしたが、それでも4F52.3〜1F12.4秒。福永祐一騎手が騎乗停止となり、鞍上が乗り替わるというアクシデントは決して楽観できることではありませんが、馬自身の調子に関しては、文句なしという評価でよいでしょう。
馬自身の調子に関しては、文句なしという評価でよいジャスタウェイ(5月27日撮影)
【安田記念/ミッキーアイル】
NHKマイルCは2か月ぶりのレースで馬体重が8キロプラス。これは、デビュー戦と同じ数字なので、体が戻ったと判断してよかったと思います。ただ、音無秀孝調教師は「見た目には少し太く映ったから、やっぱり休み明けのマイナスはあった」と回顧。では、ひと叩きした今回はどうだ、といったところですよね。
1週前追い切りは、レース後の間隔も詰まっているということで軽め。もともと最終追い切りをしっかりと行うつもりだったようです。その時計は坂路4F50.4秒。これは前走時の自己ベスト更新時計よりも0.2秒速くなっています。やれば動く馬であることは間違いありませんが、それだけ潜在能力が高いということ。相手が強くなれば、もっと高いパフォーマンスができるのでは、というのが、私の見解です。
相手が強くなれば、もっと高いパフォーマンスができるのでは、と思うミッキーアイル(6月3日撮影)
【安田記念/ワールドエース】
長期休み明けの2戦目だった前走。最終追い切りの内容は坂路で4F時計が自己ベストの上、ラスト1Fが最速になるラップを踏めていました。併せた相手ロノには遅れてしまいましたが、レース結果を考えれば、数字内容が評価できる追い切りだったと思います。
それと比較すれば、この中間の追い切り時計はやや物足りません。1週前追い切りは坂路4F52.7〜1F12.8秒。そして、最終追い切りは4F52.4〜1F13.0秒。後半の伸びが前走時のようなものではないだけに、前走時と比較すれば、評価は下がります。ただ、3歳時はこの程度の時計だったので、今のワールドエースにとって、どちらの追い切り時計が好走時だと判断すべきなのか、少々迷っているというのが、私の本音です。
前走と比較すればこの中間の追い切り時計はやや物足りないワールドエース(6月3日撮影)
【安田記念/フィエロ】
3連勝の後、重賞初出走だった前走が2着。追い切りでは、常に併せ先着する優等生タイプで、この中間も順調そのものといった感じ。今回、初コンビとなる岩田康誠騎手が跨った、1週前追い切りも上々の動きでした。
最終追い切りはトーホウストロングを追走する内容でしたが、やや前向きさが出た道中の走り。最後の直線は内から相手を交わすと、きっちりと先着。6F81.6〜1F12.2秒という時計は先週よりも数字が速くなっています。追い切り内容から評価を下げる要因は全くありません。
追い切り内容から評価を下げる要因は全くないフィエロ(6月4日撮影)
【安田記念/カレンブラックヒル】
前走は最終追い切り場所が坂路で、4F時計は自己ベストをマーク。それだけ動ける態勢が整っていたということでしょう。今回の1週前追い切りは4F51.5秒。自己ベストには足りない数字ですが、動きの良さは数字以上に目立っていました。
最終追い切りは、更に4F時計が遅くなって、4F53.1秒。しかし、ラスト1F12.2秒は非常に速い数字なので、前半セーブして、後半を伸ばしたという形でしょう。NHKマイルC優勝時を含めて、重賞勝ちはすべて、トラック調教を併用していました。そういった意味での物足りなさはあるものの、カレンブラックヒルの状態自体は非常に良いと思います。
状態自体は非常に良いと思うカレンブラックヒル(6月3日撮影)
◆次走要注意
・5/31 京都10R 白百合S【
セセリ】(6人/10着)
最終追い切りの内容が抜群でしたが、レース結果は惨敗。これまでの成績を見ると、ハナを切る競馬ができなければ、この結果も仕方ないのかも知れません。
追い切りの動きは重賞級なだけに、ハナを切れるメンバー構成になれば、いつ巻き返してもおかしくありません。
[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切り栗東坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け
・6/1 東京12R 目黒記念【
ステラウインド】(5人/7着)
追い切り内容は目黒記念に適性が高く、レースは先行して、絶好の位置。それでも最後は伸び負けしていますから、明らかに距離が長いと思います。
このまま、トラック調教で仕上げてくれるなら、ローカル重賞の芝2000mあたりがもってこい。きっと重賞制覇できる器です。
[メモ登録用コメント] [ローカル芝中距離]トラック調教なら勝ち負け
◆今朝の追い切り特報
・3歳未勝利【
スリールドランジュ】
新馬戦から、10着、6着、14着。厩舎スタッフのコメントでは「走るのをやめてしまう」とのことで、今回の追い切りから、チークピーシズを着用。これが効果絶大なようで、4日の追い切りは抜群の動きを見せてくれました。ダート1400mかダート1800mのどちらかに出走予定とのことですが、どちらの距離でも勝負です。