◆母父としてのサンデーサイレンス
サンデーサイレンスが初の日本ブルードメアサイヤーに輝いたのは2007年。以来、昨年まで7年連続で首位を守っている。むろん、今年も首位を独走中。獲得賞金、勝利回数ともに傑出した数値で、まだまだ連続記録を伸ばすことだろう。
だが、今年のアーニングインデックス(6月12日現在)は、全般[1.40]、重賞[1.03]。お世辞にも優秀な数値とは言えない。ちなみに2007年は全般[2.51]、重賞[3.10]、2008年は全般[2.31]、重賞[2.57]。この時代に比べるとかなり数値が下がっている。
2007年はアドマイヤムーン(ジャパンC)が、2008年はスクリーンヒーロー(ジャパンC)が活躍した年だった。前者の父はエンドスウィープ、後者の父はグラスワンダー。どちらも決して派手な種牡馬ではなかったが、母の父サンデーサイレンスはこれらを相手に大物を出す神通力を持っていた。
ところが、最近は母の父サンデーサイレンスから生まれた馬に、どうも以前のような大物感がない。相手にする非サンデーサイレンス系種牡馬の影響力の低下、高齢化、予想外の不振などが、その背景にあるのは確かだろう。
キングカメハメハはトゥザワールドを今春のクラシックに送り込んだが、昨年のコディーノと同じく結局は無冠に終わった。ここ数年、キングカメハメハ産駒はクラシックを勝てない状況が続いている。シンボリクリスエス、クロフネはクラシックの底力が足りず、ジャングルポケット、ホワイトマズルは高齢でピークを過ぎた。チチカステナンゴも期待を大きく裏切っている。
それらの一つひとつが重なって、アーニングインデックスをここまで下げたのか。それとも母の父サンデーサイレンスが、以前のような神通力を失ってしまったのか。いずれにしても、非サンデーサイレンス系の大物種牡馬の発掘が、今後の急務となるだろう。そうでないと、サンデーサイレンスが入り込んだ日本の名牝系が台無しになってしまう。
今年の新種牡馬として登場するハービンジャーに、果たして非サンデーサイレンス系の救世主となる資格があるのか。来週から新種牡馬について触れたいと思うが、そろそろ救世主が誕生してくれないと困る状況にある。