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宝塚記念、展開ごとの「利害が一致する組み合わせ」

  • 2014年06月27日(金) 18時00分


◆ヴィルシーナとカレンミロティック、どちらが行くのか

 過去5走で逃げを打っている馬がヴィルシーナカレンミロティックだけというメンバー構成。ヴィルシーナが逃げればスロー、カレンミロティックが逃げれば平均ペースのやや速めというところだろう。後者は本来番手タイプの馬。対して前者はハナへ行って成功した直後。そう考えるとヴィルシーナが逃げるほうが自然だが、この辺りはゲートが開いてみないとどうにも分からない。

 仮にスロー寄りになると得をするのはジェンティルドンナだ。良い位置を取れるうえに上がり勝負は大歓迎。反対に消耗戦になると、ダノンバラードに先着を許した昨年の記憶が蘇る。地力があるので大崩れはないだろうが、1着を期待されるうえに展開の手助けも欲しいところだろう。

 厳しい流れになると、ゴールドシップに追い風が吹く。レースによる当たり外れが大きくなっている同馬だが、前半から流れているほうが追走も楽でギアも上がりやすいような印象がある。昨年の宝塚記念はまさにそんな結果だった。

 そういう意味では、ゴールドシップと利害が一致しているのはカレンミロティックだ。自身が逃げるか、ヴィルシーナをつつくかして平均ペース以上に持っていきたいところ。それが結果としてゴールドシップを引き出すことになってしまうかもしれないが、速い上がりが使えない馬なので選択肢はそれしかない。

 反対にジェンティルドンナと利害が一致しそうなのは、脚質的に真逆だがホッコーブレーヴ。今回は頭数が少ないので、馬群が詰まってスローという形になると上位に食い込むチャンスが生まれる。

 どちらに転んでもある程度対応できそうなのがウインバリアシオンで、これまでのレースを振り返っても展開への対応力が高い。なにしろG1を勝ってはいない馬なのでアタマ決め打ちというわけにはいかないが3連複や3連単の軸とし、ハイペースシナリオかスローペースシナリオかによってヒモを決めていくとよいのではと思う。

 評価が難しいのがジェンティルドンナ以外の牝馬勢。ヴィルシーナは対牡馬戦だとやはり割り引きが必要か。ただ、展開を握っているのは大きいので、結果はピンかパーかのような極端なことになると予想する。4歳牝馬2頭は単純に前走内容からメイショウマンボを優先したい。大阪杯の負け方は対牡馬戦に弱いというより、前と後ろがきっぱり分かれた競馬の中で中途半端になった印象もある。決めつけずにもう1戦見てみたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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