宝塚の穴馬に浮上 持久力勝負得意なミロティック/トレセン発秘話
◆宝塚記念の顕著な傾向
中村調教師は重賞に管理馬を出走させる時、過去10年のレースビデオをじっくりチェック。そこから浮かび上がる傾向をもとにレースの戦略を練る――。こんな話を以前、当欄で書いたことがある。
宝塚記念といえば、瞬発力勝負にはならないのが顕著な傾向だ。過去10年でレースの上がり3ハロンが35秒を切ったことは一度もなく、36秒かかることが当たり前。時には37〜38秒台まで落ち込むこともある。阪神内回り2200メートルのコース形態、この時期特有の雨、レースの流れ…その理由はいくつかあるだろうが、頭数にかかわらず大抵はそれなりに速いラップで流れ、上がりがかかるのが定番となっている。
明確な逃げ馬が不在で頭数も少なめの今年はスローになってもおかしくない? いや、これまで積み上げてきたレースの歴史を考えれば、今年もある程度上がりがかかる勝負になると見る方が正解だろう。
となれば浮上してくる穴馬はハッキリする。持久力勝負に強く、瞬発力勝負に泣くタイプ…今年のメンバーではカレンミロティックがドンピシャだろう。
前走の鳴尾記念は苦手な瞬発力勝負を強いられながらタイム差なしの4着。池添自身「内で追い出しが遅れてしまったのは痛かった。瞬発力勝負は苦手な馬。ああいう展開の中、よく頑張ってくれたと思う」と話す。そして今回は「長くいい脚を使うから、自分でレースをつくった方がいい」と得意の持久力勝負に持ち込むプランを披露した。肝心の状態についても「動き、走り、息遣いとも前走より全然いい」なら期待は高まる。
昨年の有馬記念ではあのオルフェーヴルに早めに潰される展開でも6着に粘ったカレンミロティック。持ち味を存分に生かせる宝塚記念なら3強を脅かすことも不可能ではない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)