新潟のスプリンターズSなら要注意
同じGIIIのハンデ重賞「ラジオNIKKEI賞」は、史上2番目の好タイム1分45秒9で決着したから今後につづくこと必至だが、勝ったウインマーレライ(父マツリダゴッホの初の重賞勝ち馬)、2着クラリティシチー、そしてショウナンワダチの3頭以外は、これからは1000万条件に編入される3歳馬。
一方、CBC賞組は、
マコトナワラタナ以外はオープン馬なので、このあとに連続するサマースプリントシリーズにもかなり関係する。今年はスプリンターズSも中京と同じ左回りの新潟1200mで行われる(10月5日)。路線に結びつく可能性が高いのはCBC賞のグループか。
中京1200mに移って、マジンプロスパーの勝った2012年が1分08秒7のレコード。昨13年もマジンプロスパーが抜け出して1分08秒0の現在のレコード。年ごとに速い時計が生まれるように変化している中京コースだが、良発表でもちょっと渋るとタフな芝になる。今年は1分08秒6「34秒2-34秒4」。たしかに全体レベルも高くはなかったが、見た目以上にタフなコンディションだった
勝った5歳牝馬
トーホウアマポーラ(父フジキセキ)は、これで中京コースでの連対2回をふくめ、芝1200m【5-4-1-1】となった。以前よりカッカしなくなり、この日も休み明けながら非常に落ち着いてみえたから、いま本格化したとしていいだろう。決してすんなり先行できたわけではないが、好位でもまれながらもタメを利かせると、後半の伸びにつながった。オープンに昇格して2戦目。さっそく結果を出したのが今回の初重賞制覇である。
ここまで1200mでは、約半年の休養明けになった3歳秋の1000万下で着外1回(0秒8差)があるだけ。まず凡走しない安定したスプリント能力が、相手と53キロの軽ハンデに恵まれた今回、フルに発揮されたのだろう。でも、高速の京都だったとはいえ、3歳春の500万特別を抜け出したときが、1分06秒9(自身33秒7-33秒2)で2着に1秒0の差をつけた独走。抜群のスピード能力がある。平坦新潟の1200mは、今回や、京都1200mと同じようなラップバランスになることが珍しくない。中山のスプリンターズS向きの馬ではないが、このあともう少し賞金を重ねて出走が叶うなら、今年のスプリンターズSなら侮れない。
エピセアローム(父ダイワメジャー)は、そのスプリンターズS(中山)を、3歳時に1分07秒0でロードカナロアの0秒3差4着に快走した馬。そのあと伸び悩んでいたが、今回55キロの事実上のトップハンデ(牡馬
スギノエンデバーが57キロ)を課せられながら、一旦は確勝の態勢に持ち込んだあたりはさすがだった。ハンデ差を考慮すれば、負けはしたが中身は勝ち馬と互角か。ここまで6回も1200mを「1分07秒台」で乗り切っているスピードは、京都や小倉で示す好内容からみて、平坦新潟のスプリンターズS向きと思える。
伏兵10番人気の
ニンジャ(父グラスワンダー)は、昨年の北九州記念(小倉)を1分06秒8で2着した潜在スピードを秘める馬。折り合いの難しさが前面にでた時期もあったが、ムリに控えなかった今回の3着は、たしかに全体は平凡な時計ではあるが、同じようなタイプのGレースの常連スギノエンデバーに伸び負けしなかったから立派。この夏のスプリントシリーズで初重賞に手が届きそうな予感がある。
馬群を割って伸びながら、またまた善戦止まりの5着にとどまったスギノエンデバー(父サクラバクシンオー)、そして前出のエピセアロームを、スプリント路線の準主役級の能力基準の馬とすると(事実、この2頭は
ルナフォンターナと並ぶトップハンデ)、人気の
ベルカント(父サクラバクシンオー)は物足りなかった。
ポンと好スタートを切って、単騎で前半34秒2…の逃げは、勝ってください…にも近い楽なマイペースである。ラジオNIKKEI賞のハンデは、まだランク付けの成立しにくい3歳馬同士の比較なので難しいことが推測されるが、CBC賞は格好の目安になる古馬のオープン馬がいる。ハンデは決定しやすい。ベルカントは「52キロが妥当」。見事なハンディキャッパーの判断である。一応見せ場は作って小差の5着。たしかに52キロが妥当だった。
あくまで一般論だが、この路線で通用するのは桜花賞で勝ち負けするくらいの総合スピード能力を示した馬である。1600mでは止まったが、1200mなら…と、スプリント路線での飛躍を期待した陣営にはちょっとショックだったろうが、まだ成長途上の3歳馬。鍛えつつこれからの成長をうながすしかない。
ルナフォンターナ(父アドマイヤムーン)は、目下の3連勝からすると今回は案外だった。きわめてタフなチャンピオンだったフリオーソの半妹。だが、心もち控えた中間の追い切りで体調を整えなければならないあたり、全体に非力で、ちょっとタフなコンディションの中京の芝は合わないのかもしれない。また、インでずっと苦しい位置に押し込められたのも、現在の岩田騎手にとっては非常につらい身動きのできない形だった。