ヤマニンシュクルは期待の一頭であったとはいえ、逃げたヤマニンアルシオンが残るというあの結果には、いささか物足りなさを覚えました。
スピード化の進んだ今の競馬は、多くのレースが、前半、後半がイーブンペースになりやすく、マイルのG1戦も、勝ちタイムを半分に割って、前半マイルが47秒台というのが普通です。平均ペースと言っても、受ける感じからは緩みない流れ、決して遅くはないのです。どの馬にも、公平に力を出し切れる情況がそこにはあります。
ところが、阪神ジュベナイルFの今年のペースは、前後半が48.2秒と47.7秒でした。勝ちタイムが1分35秒9。例年より1秒は遅い決着です。これから、来年の桜花賞は見えてきません。
ただ、このペースで上がり3ハロン34秒台で上位にきたヤマニンシュクルとスイープトウショウの2頭には、春の有力馬としての資格を与えてもいいでしょう。
特にヤマニンシュクルは、スタートを切って馬群の内に馬を寄せ、終始余裕の手応えでロスがなく、勝負どころで騎手の指示に反応よく外へ出て、邪魔されることなく末を伸ばせていました。包まれてスパートの遅れたスイープトウショウとは、完全に明暗を分けたと断言していいでしょう。
さて、これで2歳牝馬チャンピオンは決まりますが、これからのことは全く分かりません。例年よりもレベルの低いレースであったのは間違いないことですが、このことだけで出走馬たちのレベルまで低いと決めつけていいでしょうか。この2頭の他に、力を出し切れなかったものがいたかもしれません。その辺のところをよく吟味して、可能性のあるものをピックアップし、次のステップを待ちたいところです。クラシックと言っても、桜花賞は同じコースを走るのです。各馬の変化こそ、見るべきポイントと思っています。