◆夏競馬の格言色々
「夏は牝馬を狙え」。この格言は恐らく正解だろう。単純に暑さに強い以外に様々な理由が考えられるが、坂路野郎の経験則上でも暑い時期になると牡馬の有力馬を押しのけて牝馬が活躍することが多いのは確かだ。
一方で「夏は芦毛を狙え」という格言もある。白より黒の方が熱や光を吸収しやすいので、芦毛の方が暑さに強いというのがその根拠だが、これも正解なのだろうか?
「それは、ただの思い込みでしょう。確かに白い肌より黒い肌の方が熱を吸収するかもしれないけど、馬は昼間ずっと太陽を浴びているわけじゃないからね。朝涼しい時間に馬場に出て、後はキュウ舎の馬房の中。体調に影響が出るとは思えない」とは中竹調教師だ。
実際、過去5年の7〜9月の毛色別成績を調べてみたところ、芦毛が特に走っている傾向は確認できなかった。統計的に見ても、この格言はただの俗説であることが分かる。
「夏に強いかどうかは、あくまで個々の馬の体質によるもの。牝馬でも夏場に弱い馬は当然いるし、夏場になると硬さが取れて走りだす馬もいる」(中竹師)
夏馬か、そうでないのか。見分けるには単純に、その馬の過去の成績を見るのが一番手っ取り早い。中京記念に出走するブレイズアトレイルは、全5勝のうち4勝が7〜9月に集中している典型的な夏馬だ。
「去年もこれぐらいの時期から、すごく馬が良くなったんです。今年も活気が出てきて、状態が上がっているのを感じます」とは調教パートナーの仲田助手。23日の追い切りでもウッド6ハロンからしっかり併せ馬を消化し、デキの良さを証明。この馬が芦毛というのはたまたまだろうが、夏に強い馬であることは間違いない。ズバリ、重賞初Vのチャンスだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)