スマートフォン版へ

ハーツクライの成功パターン配合馬エニグマバリエート

  • 2014年08月06日(水) 12時00分
アフェットゥオーソ(牡 美浦・萩原清 父ネオユニヴァース、母アコースティクス)
 日本ダービー馬ロジユニヴァースの全弟で、兄と同じく萩原清厩舎に入厩予定。父ネオユニヴァースはやや鈍重なタイプなので、「Danzig系×Mr.Prospector系」というスピード型の母はフィットしており、このパターンの繁殖牝馬からガンジス、シセイカグヤ、リアルヴィーナスなどコンスタントに活躍馬が出ている。また、Halo≒Sir Ivor 3×5というスピードタイプのクロスも悪くない。母方にMachiavellian、Lorenzacchio、Bustedを併せ持つ配合は、同じネオ産駒の大物ヴィクトワールピサと同じ。ランフォルセ(父シンボリクリスエス/12年ダイオライト記念-JpnIIなど重賞4勝)、ノーザンリバー(父アグネスタキオン/14年さきたま杯-JpnIIなど重賞4勝)、モンローブロンド(父アドマイヤベガ/04年ファンタジーS-GIII・2着)、ノットアローン(父アグネスタキオン/08年ラジオNIKKEI賞-GIII・2着)など、活躍馬が目白押しの活力ある牝系に属している。兄同様の活躍を期待したい。

アマレッティ(牝 美浦・久保田貴士 父キングカメハメハ、母ドルチェリモーネ)
 全兄デリッツァリモーネは萩S(2歳OP)の勝ち馬。父キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」の組み合わせを持つ血と相性がよく、ロードカナロア、ローズキングダム、ベルシャザールといった代表産駒はこのパターンに当てはまる。本馬の母方に入るTopsiderは、父がNorthern Dancerで、母Drumtopは「Princequillo+Nasrullah」という構成。Secretariatは「Nasrullah+Princequillo」なので、Drumtopをひっくり返した組み合わせ。したがってTopsiderは「Northern Dancer+Secretariat」とよく似ており、父の成功パターンにほぼ当てはまる配合となっている。芝向きの中距離タイプとしてハイレベルな活躍が期待できそうだ。

イッテツ(牡 栗東・矢作芳人 父Invincible Spirit、母Temple Street)
 父Invincible Spiritはヨーロッパで最も優れたスピード血統のひとつであるGreen Desertの系統に属し、現役時代はスプリントC(英G1)を制覇。種牡馬としては英愛ファーストシーズンサイアーチャンピオンに輝き、その後も順調に活躍馬を送り出して人気種牡馬となっている。現3歳世代のKingmanは愛2000ギニー(G1)、セントジェームズパレスS(英G1)、サセックスS(英G1)と欧州マイルG1を3連勝中で、今後の活躍次第では欧州年度代表馬のタイトルも狙える逸材だ。2代母Echoesはコリーダ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬で、母Temple Streetは不出走馬だが、繁殖牝馬としてLangs Lash(08年クイーンメアリーS-英G2)を産んでいる。母はGold Digger≒Bold Honor 3×3を持つほか、Mr.ProspectorとHaloを併せ持つので、コンスタントにスピードを伝えられるタイプだろう。父はヨーロッパ向きのパワーを帯びているので、日本においては1〜2勝馬しか出しておらず、ダート向きに出ることも少なくない。ただ、本馬の場合、母のスピードをもってすればその壁を越えられる可能性はある。芝・ダート兼用のスプリンター〜マイラー。

エニグマバリエート(牡 美浦・戸田博文 父ハーツクライ、母ティエッチグレース)
 母ティエッチグレースは現役時代、主に短距離路線で活躍し、アイビスサマーダッシュ(GIII)で2着と健闘したほか、福島芝1200mで1分07秒4というレコードを樹立したスピード馬だった。父ハーツクライはジャスタウェイ(14年ドバイデューティーフリー-G1、13年天皇賞・秋-GI、14年安田記念-GI)、ワンアンドオンリー(14年日本ダービー-GI)、ヌーヴォレコルト(14年オークス-GI)などを出して今年の春に大ブレイク。総合種牡馬ランキングでは現在3位につけ、2位キングカメハメハに迫っている。母方にCapoteを持つハーツクライ産駒はカポーティスター(13年日経新春杯-GII)、マジェスティハーツ(13年神戸新聞杯-GII・2着)、ダイワズーム(12年スイートピーS-OP)が出ているニックス。Seattle SlewとNijinskyを併せ持つ形も成功しており、少ないサンプルからカレンミロティックとアドマイヤラクティが出ている。本格化するまでに時間を要するかもしれないが、ゆくゆくは重賞クラスまで出世するのではと期待したくなる好配合馬だ。

ヘヴンアンドアース(牝 美浦・小島太 父アドマイヤムーン、母ミズナ)
 先日のエプソムC(GIII)を勝ったディサイファ(父ディープインパクト)の半妹で、重賞で2着6回と勝ちきれないアドマイヤタイシ(父Singspiel)の半妹でもある。母ミズナは、わずか1世代を残して死んだDubai Millenniumの貴重な牝駒であり、2代母Tribulationはグラスワンダーの母Amerifloraの全妹にあたる良血。Dubai Millenniumの父はSeeking the Goldで、「アドマイヤムーン×Seeking the Gold」の組み合わせからアルキメデス(13年朝日チャレンジC-GIII)が出ており、本馬はこれと配合構成が近い。おそらく芝向きのマイラー〜中距離馬だろう。父アドマイヤムーンはスピードが勝ったタイプなので、母方からスタミナや底力をサポートする配合が成功しやすい。本馬はこの条件にあてはまる。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング