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キーンランドC有力各馬をステップレースごとに分析

  • 2014年08月29日(金) 18時00分


◆秋以降の結果にも響くサマーシリーズ

 サマースプリントシリーズができて以降、北海道の2重賞と内地の重賞を行ったり来たりする馬が増えた。常識で考えると馬に負担がかかるはずだが、これまでの結果を見る限りシリーズ内のうちはぎりぎりなんとかなってしまうことが多い。ツケが来るのは秋以降で、その頃になったら夏に無理をした反動を気に掛ける必要がある。

 今回はステップレースごとに見ていこう。

 UHB賞組は6頭が出走。これまでの結果を見ても重賞組と比べて成績はいまひとつだし、今年はスマートオリオンが函館スプリントS9着→UHB賞2着(しかも57.5キロ)なので、やはり重賞組とはちょっと差がある。

 それでもシルシを回すとしたらスマートオリオンとブランダムールで、この2頭は先着馬であるというだけでなく前走の人気上位(今回出走する6頭中の)でもあるので、選択の余地はない。2頭とも時計のかかる馬場を得意とする短距離馬なので、このレースに対する本気度だけは期待できる。

 アイビスサマーダッシュからは3頭が出走。その前走における着順ではフクノドリーム、過去の実績ではフォーエバーマークということになる。パドトロワは2ケタ着順8連発中の7歳馬だし、さすがに推しづらい。

 フォーエバーマークも6歳牝馬という通常なら繁殖に上がっているタイミングで、成績も明らかに昨年より落ちている。それでも見限れないのは馬場適性と先行力。差しタイプが案外だった場合にはこの馬の残り目もある。

 フクノドリームは斤量面で有利な3歳牝馬。その若さで福島→新潟→札幌という転戦がこなせるかどうか。先述した通り、一般論としては意外と大丈夫なのだが、経験の浅い3歳馬という点が気になる。札幌替わりそのものは、1200mで時計の裏付けが無い馬なのでむしろプラスだろう。

 函館スプリントSからは2頭が直接来るが、その前走が初の1200mだったローブティサージュは短距離慣れするかもしれない今回が楽しみな一戦。キーンランドカップ自体、前走位置が後ろで今回はある程度前という馬がよく好走するレースであり、前半の流れに乗れれば勝ち切るチャンスも十分だ。

 高松宮記念から直行のマジンプロスパーはその前走こそ最下位だったが、以前の実績を考えると馬鹿にはできない。「時計のかかる馬場だが、その馬場なりに速い時計の決着」というのが得意パターンなので、まずは良馬場でやりたい。

 別路線組ではやはりレッドオーヴァル。枠順から考えて外を回ることになるだろうが、後手後手になるとタイミングの問題だけでなく4角で外に振られることになるので、積極的に攻めたいところだ。

 スノードラゴンは脚質に幅がない馬なのでどれだけ早めに動けるかだが、今回はコース的に苦しそうなので差しが届くコースに替わった場合の次走以降に期待したい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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