クロフネサプライズ予後不良に思うこと/トレセン発秘話
◆田所調教師「ネットの反響がすごくて…。改めて人気のある馬だったんだと思い知らされた」
調教中の事故により競走馬が予後不良となるケースは珍しいことではないが、それが重賞ウイナーともなると衝撃的だ。
先週の金曜朝、昨年のチューリップ賞の覇者クロフネサプライズが調教中のアクシデントで左前脚を粉砕骨折し、安楽死処分となった。管理する田所調教師によれば、その日、坂路を上がる時はいつものクロフネサプライズだったという。
「モニターで見ている分には、いい感じで駆け上がってきたし、よしよしと思っていたんだけどね。(モニターに映らない)ゴールを過ぎたところでつまずいたのか、転倒してしまった。あそこは、いつも注意しているところなんだけど…」
かかり気味に走ることを考慮して、馬の少ない時間帯に調教していたのだが、今回のアクシデントに関しては、それが悪い方に作用してしまった。
「放馬した後、周りに馬が少ないこともあって気分良く走り過ぎてしまったみたい。逍遥馬道の出入り口で脚を滑らせて転んでラチにぶつかってしまって…」
近走は2桁着順続きだったクロフネサプライズだが、桜花賞(4着)では1番人気に支持されたほどの実力馬。どこかで復活すると思い、坂路野郎も2走前の中京記念、初ダートだった前走の阿蘇Sなどは注目していただけに残念でならない。
「予後不良になった後、自分のフェイスブックでファンに報告させてもらったんだけど、ネットの反響がすごくて…。改めて人気のある馬だったんだと思い知らされた」とトレーナー。
本来なら19日の福島民友カップ(福島芝1200メートル)に出走する予定だったという。天性のスピードを持っていた馬だけに、2歳夏以来のスプリント戦でどんな走りを見せてくれたのかと、つい考えてしまう。
生き物を相手にしている以上、レース中はもちろん、調教中にも何が起きるか分からない。「無事でいることが一番大事なこと」と改めて痛感させられた。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
※吉田竜作記者の「吉田竜作マル秘週報」は吉田記者が海外取材のため休載とさせていただきます。何卒ご了承ください。