超スローを念頭に
ホエールキャプチャ、
スイートサルサ…の名前をみて、だれもが思い起こすのは昨2013年の「府中牝馬S」。レースを先導する馬がなく、伏兵コスモネモシンが押し出されるようにペースメーカーになったレースの流れは、最初から見るからにスローで展開し、前半1000m通過はなんと「63秒8」。1200m通過は「1分16秒0」…。
あまりにも緩すぎる流れで、息を殺した探り合いの超スローペース、などと形容するのも無理だった。とまっていた数匹のハエが飛び立ち、レースが開始されたのは残り3ハロン地点。直線に向いてからのことで、勝ちタイムは1分48秒8。最後の直線3ハロンは「10秒8-10秒7-11秒3」=32秒8だった。
逃げる形で4着同着だったコスモネモシンの上がりがもっとも遅く「33秒0」。残りの12頭の後半3ハロンはすべて「32秒台」であり、最速を記録した6着(0秒2差)ゴールデンナンバーの上がりは32秒0。大変な記録が残っている。
今年、先手を取りそうなのは、
オツウ(柴田善臣)か、
マコトブリジャール(秋山真一郎)あたりか。先頭に立って、ほかに脚を使わせようという逃げの手法は取らないことの多い騎手である。さすがに昨年の前半1000m通過63秒8(前日の2歳未勝利戦より15馬身にも相当する2秒6も遅いペース)の再現はありえないが、前半1000m通過「60秒-61秒台」の超スローは十分に考えられる。
先行しそうな馬。坂上からの瞬発力に勝る馬。あるいはスパート体勢に入って速い脚の長つづきしそうな馬から入るしかない。鋭いイメージは乏しいが、今春の「阪神牝馬S」で最後方一気を決めた
スマートレイアー(父ディープインパクト)を買いたい。
1970年代後半のアメリカで、ケンタッキーダービーなど30戦26勝の星を残したのはスペクタキュラービッド(マームード譲りの芦毛)。同馬から伝わる非常に珍しい芦毛をもつこの牝馬、ボッタリした体型だから鋭さは感じさせないが、阪神牝馬Sの同馬の上がりは33秒3だった。
平凡に映るのは、それは阪神内回りの3コーナーからのことだからであり、レースの最終2ハロンは「11秒5-11秒6」である。4コーナーでまだ最後方にいたスマートレイアーは、レース上がり34秒8を「1秒5」も上回ったから、最後は推定「10秒8-10秒6」=21秒4に近い上がりで猛然と加速して差し切っている。
瞬発力というより、気分よくスパート体勢に入ると、トップスピードを500mくらいは持続できる末脚勝負型と考えたい。ゴールドシップと似たような一面があり、気が乗らないのに動かそうとすると案外なところが見られるから、この日、京都で騎乗する武豊騎手の代役は、同じように気分良く追走することの巧みな騎乗流儀が求められる。そこで、横山典弘騎手になったのではないかと、考えたい。
5歳の今年、自在性を加えて本格化し、めったに崩れなくなった
キャトルフィーユ(5着の2走前も0秒1差)と、昨年ほどは速い時計を出してはいないが仕上がり十分と判断できるホエールキャプチャ、昨年は上がり32秒6で小差3着のスイートサルサが相手の本線。
ウリウリ、
ディアデラマドレを押えたい。