「日本ダービー」制覇で失うもの
日本ダービーを実に勝負強い内容で快勝した
ワンアンドオンリーは、秋の神戸新聞杯も地力に勝るダービー馬らしく、ロングスパートから一度は交わされながら、差し返して勝った。視界良好、2冠達成は見えているとしていい。ほとんどの馬に距離延長の不安があるのが、今年の組み合わせであり、ワンアンドオンリーとて、3000mへの延長に少なからぬ心配はあるが、ほかの馬よりは不安は少ないと思える。
菊花賞で、皐月賞馬とダービー馬が対決すると、長い歴史は皐月賞馬の「12勝4敗」という先着成績を伝えている。オルフェーヴルや、ディープインパクトは、菊花賞を制して3冠馬になったのではない。皐月賞を勝つことができたから、3冠馬に輝いたのだ、と言うこともできる。実際、オルフェーヴルは皐月賞では人気の中心ではなかった。多くの馬が初対決となる皐月賞は、トーナメントの頂点であり、ケンタッキーダービーと同じ位置にあるから、思われているよりその重要度ははるかに高い。
距離適性は別のこととして、ダービーでも2着した最大のライバル「皐月賞馬イスラボニータ」が、次週の天皇賞(秋)に回ってくれたのがワンアンドオンリーには一番大きい。怖い上がり馬も、少ない。
ただ、人気ほどは信頼性が高くないことは認めなければいけない。皐月賞の最先着馬と、ダービーの最先着馬が菊花賞で対決すると、皐月賞の重要性を物語るように、確か皐月賞最先着馬の「25勝17敗」のはずであり、勝負付けが済んだように思えて、
トゥザワールドは怖い。
また、なぜダービー馬が、皐月賞馬と比較するときに、頂点の1冠を制したチャンピオンらしくない成績になるのかと考えると、無上の1冠、すべての競馬人が生涯の目標とまで考えている「日本ダービー」を制することによって、少なからず失うものもあるのかもしれない。勝負の世界では否定することのできない、「運やツキ」を。とうとう、ついに悲願を達成した橋口調教師を中心とする陣営に、1973年のタケホープ以来の「ダービー、菊花賞」の2冠制覇の強運があふれているのだろうか、失礼な発想ではなく、勝負の世界のことだから、だれしも希望と、一方ではマイナスを考えてもいい。タケホープとて、ダービーでは完封したハイセイコーと、きわどいハナ差の辛勝だった。
菊花賞は、逆転の一冠でもある。つい3カ月前まで未勝利馬だった驚異の上がり馬
トーホウジャッカルの馬券を買いたい。前回の神戸新聞杯は、ゴール寸前のロス(不利)がなければ、まとめて差し切るところだった。
今年のCBC賞1200mを勝ったトーホウアマポーラの4分の3同血の弟が、菊花賞3000mを快走するとは考えられない血統背景もあるが、スペシャルウィーク譲りの細身の馬体と、無類の勝負強さを考えると、台頭して不自然ではないと思える。3000mに延びて死角があるのは、みんな同じ。阪神の2400mをこなしたのだから、いつもの年以上のスローであっても驚けない今年、ずっとインで息を潜めて変に動かずに待っているなら、神戸新聞杯と同じようなレースができて不思議ない。前回、ゴール寸前で寄られて体勢を立て直しながら、もう一度伸びた勝負強さは特筆である。大接戦になるとき、インから伸びてくる。
穴馬は、ダービーと同じような指定席を得た
マイネルフロストと、京都新聞杯の内容が光る
ハギノハイブリッドの巻き返しか。