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太の重賞レース回顧!『GIでも十分チャンスがある馬やけど』

  • 2014年11月04日(火) 18時00分
小牧太

今回は毎日王冠とシリウスSについて、騎手目線でたっぷりと振り返ります


10月は重賞騎乗が続いた小牧騎手。秋華賞のように見せ場十分だったレースもあれば、1番人気で残念に終わった毎日王冠のようなレースも…。今回はその毎日王冠とシリウスSについて、騎手目線でたっぷりと振り返ります。
(取材・文/不破由妃子)


ナムラビクターには、ホンマ往生しますわ

──10月はシリウスSに始まり、重賞への騎乗が多かったですね。それぞれ小牧さんの回顧が聞きたいというリクエストがきています。ではまず、ワールドエースの毎日王冠(13着)から。道中から行きっぷりが本物ではなかったですね。

小牧 もうねぇ、久しぶりに肩を落として寂しく帰りましたわ。絶対に勝てると思っていたからね。返し馬で落ち着いていたから、その時点では“これはいいなぁ”と思ったんやけど、レースではなんの反応もなく終わってしまった。むしろ、引っ掛かると思ってたんやけどねぇ。引っ掛かるどころが、ハミが掛からず進んでいかんかったわ。

──小牧さんとしても、その原因がわからない。

小牧 わからんね。全然わからん。追い切りにも2週続けて乗って、あんまり成長は感じなかったけど、いい動きやったしね。休み明けの左回りで戸惑ったのか…。ホントにわからんね。なにもなく終わってしまった感じやから。高倉も10Rの1頭で東京に乗りに来ていたでしょう? だから行きも帰りもずっと一緒に移動してたんやけど、同じ1番人気であいつは勝って。

──テレビ静岡賞のダノンレジェンドですね。

小牧 そうそう。レースのあと、「小牧さんにつなぎましたから!」って言うとったから、“これは縁起がいいなぁ”なんて思いながら。勝てると思ったんやけどなぁ…。やっぱり力んで乗ったらアカンね。

──小牧さんご自身、力んでしまった面がありますか?

小牧 気持ちの面でね。勝つつもりでいたんで、前の日から気分が違った。なんせビール飲まんかったもん。帰りに空港で高倉と寿司を食うてね。負けたけど奢ったったわ(笑)。

──合図をしてもハミを取ってくれないとなると、どうしようもないですよね。改めて、馬って難しい…。

小牧 ホンマやねぇ。かと思えば、終始力んで、(ハミを)噛みっぱなしだったりする馬もおるし。

──続いては、10月4日のナムラビクターでのシリウスS。最後は、一度かわしたクリノスターオーが盛り返してきましたね。

小牧 そうそう。でもよう走ってくれましたわ。なんせ調教が全然ダメやったから。あの馬、ホンマ往生しますわ。坂路やったら動くんやけど、コースだと途中で止まってしまうねん。行き出したと思ったら、また止めようして、追い切りにならんかった。だから、調教ではもう僕は乗らんことにしました。

──以前からそうでしたっけ?

小牧 うん、前から。でも、しょっぱなに乗った仁川Sのときは追い切りもすごく良くて、「なんと素晴らしい馬や」と思ったくらい。レースも期待通りで、たしか「こんなに強い馬、久しぶりに乗ったわ」ってコメントしたでしょ? 今思えば、調教もレースもあのときが最高やったわ。

──でも、仁川SのあとにアンタレスSを勝って。あのときもすでに異変があったんですか?

小牧 うん、返し馬で暴れて怖かった。だんだん難しくなってるんやねぇ。シリウスは正直、「今回はダメかなぁ」と思ってた。でも2着に踏ん張ってくれたからね、良かったです。よく2着にきたという意味で、これがベストレースかな。それにしても、ゲートは入らんし、賢すぎるんやろうね。ズルいんやわ、あの馬。

──レース中もズルさを見せるんですか?

小牧 いや、レースでは大丈夫です。まぁ仁川Sのときに比べると、いくぶんズルくなっているような気もするけど。前回も普通には走ってくれてるからね。能力があるのは間違いないだけに、なんとも歯がゆいね。

──そういえば、体が16キロ減っていましたが、その影響は?

小牧 多少はあったかもしれんけど、あそこまで走ってくれたからね。調教で動かないもんやから、中間はビシビシやらざるを得なかったから…。汗をびっしょり掻いとったから、それで減ったのかもしれんね。

──みやこSからチャンピオンズCというのが今後の予定ですね。

小牧 そうやね。みやこSはもちろん、普通に走ればGIでも十分チャンスがある馬やけどね。あ〜、なんとか仁川Sのときの精神状態に戻ってくれへんかなぁ。

小牧太

あ〜、なんとか仁川Sのときの精神状態に戻ってくれへんかなぁ



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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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