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先週までに行われた今年のJRA2歳重賞で1番人気は勝利していないことに気がついた(村本浩平)

  • 2014年11月11日(火) 18時00分


◆これは今週のデイリー杯2歳Sも1番人気は消しということですよ! と書き記したところで…

 今日、地上波の競馬中継を見ていて気付いたのだが、今年、これまで(11月8日現在)JRAで行われた2歳重賞で、まだ1番人気に支持された馬は勝利していないという。

 気になったので勝ち馬と1番人気に支持された馬を書き記してみると、函館2歳S…アクティブミノル(1番人気はマイネルエスパス)、新潟2歳S…ミュゼスルタン(1番人気はアヴニールマルシェ)、札幌2歳S…ブライトエンブレム(1番人気はミッキーユニバース)、小倉2歳S…オーミアリス(1番人気はレオパルディナ)、いちょうS…クラリティスカイ(1番人気はサトノフラム)、アルテミスS…ココロノアイ(1番人気はレッツゴードンキ)、京王杯2歳S…セカンドテーブル(1番人気はニシノラッシュ)、ファンタジーS…クールホタルビ(1番人気はダノングラシアス)と、頑張って作業をした自分がビックリするほどに1番人気が勝っていない。

 これは今週のデイリー杯2歳Sも1番人気は消しということですよ! と書き記したところで、このコラムは予想系では無いのは百も承知なのだが、POG媒体執筆ライターとしては、少々気になるデータでもある。

 情報に乏しい2歳戦の人気を作っているのは、調教や厩舎のコメント、そして血統などから予想の印を打たれる競馬新聞のトラックマンや、スポーツ新聞の記者の方であるのは重々承知である。でもそこにちょっとだけオッズを変えるようなお手伝いをさせてもらっている(おこがましいですが…)のは、赤本のようなPOG媒体だと思っている。

 個人的にPOG取材で得た情報は、2歳戦の馬券に役立てている自分。「赤本には取り上げたけど、そこまで人気になるような馬じゃないだろう」と思っていた馬が、メイクデビューで人気を集めていた時には、「牧場の方のコメントをまだ控えめにしておけば、こんなオッズにならなかったのでは…」と被害妄想が甚だしくなったりもする(笑)。

 POG媒体の1番の功績は、デビュー前から知っている馬、そして注目される馬を紹介できたことだろう。写真入りで大きく取り上げた馬のほとんどは、メイクデビューでも1番人気の評価を集める傾向が強い。これまでの2歳重賞で1番人気に支持された馬が勝っていないというのは、ひいては我々が牧場で取材してきた馬たちが、重賞で好走していないということでもあるのだ!……………少々言い過ぎましたm(_ _)m。

 1番人気に支持された馬が2歳重賞を勝っていない理由は色々とあるのだろうが、人気を集めていない馬が2歳重賞を勝利している理由に観点を変えてみると、札幌2歳S以外はマイル以下といった短距離重賞であることも、多いに関係していると思われる。

 完成度だけでなくレース経験の乏しい2歳馬だけに、忙しい流れとなる短距離重賞では、ちょっとした不利で大きく着順が変わることもある。そのまた逆に、上手く流れに乗ることができた馬は、好走の可能性も充分にあるということなのだろう。

 1番人気に支持された馬が勝っていない理由をもう一つあげるとするなら、POGでも注目を集めるディープインパクト産駒が、まだ2歳重賞を勝っていないのも関係していると思われる。ちなみにこれまでの2歳重賞に出走したディープインパクト産駒では、新潟2歳Sのアヴニールマルシェが2着となっているが、そもそもこの時期の2歳重賞(というか短距離戦)にディープインパクト産駒はあまり出走してこないので、それほど有益なデータとは言えないのかもしれない。

 ということは、今後、POG媒体でも大きく取り上げたディープインパクト産駒が、評価通りにメイクデビューを勝ち上がり、その後、重賞に出走してきた暁には、「2歳重賞は1番人気の馬が来ない」という傾向も払拭されるのではと思う。それでも年末の2歳GIレースといった重賞に向けて、出走をほぼ確定させるような賞金を持っているのは、いわゆる短距離戦で優秀な産駒成績を残している種牡馬の産駒ばかり。こういった馬たちを牧場取材でフォローできなかったのは今後の反省としながらも、今年の2歳重賞戦線だけでなく、POG戦線もまた、混迷の度合いを深めていると言えそうだ。

 そんな中で、赤本でも個人的なイチオシである、ディープインパクト産駒の注目馬が素晴らしい勝ち方をしてくれた。10月25日、京都競馬場で行われた2歳未勝利戦(芝2000m)に出走したグリュイエールは、デビュー戦の敗退を引き摺らないような素晴らしいレースぶりで勝利を収めただけでなく、なんと芝2000Mにおける2歳コースレコードも樹立。近年、2歳レコードを樹立した馬のほとんどが重賞勝ち、もしくはそれに近い成績を残していることからも、これは重賞勝ち以上の成績を残してくれるのは間違いないと思っている。

 牧場でグリュイエールの育成を担当していた、ノーザンファーム空港牧場の細田誠二厩舎長とお会いする機会があったのだが、おめでとうございます! と言葉を向けると、「強かったですね」と笑顔を見せてくれた。思えば春先に細田厩舎長から「この馬はクラシックに行けます」との強い言葉、そしてスタイリッシュかつ、ディープインパクト産駒の枠に収まらないような馬体を見て、ノーザンファーム育成馬のイチオシとして取り上げたのがグリュイエール。グリュイエールなら馬券の払い戻しがそれほどつかなくても、レースを勝ち進んでくれたのなら無問題(笑)。まずはPOGで指名した皆さんと共に、日本ダービーへ向かっていく姿を見つめていきたい。

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