◆兵庫のスゴイ2歳馬
早いものでホッカイドウ競馬の今シーズンの開催は昨日(11月13日)が最終日。道営記念は、1番人気に支持されたウルトラカイザーが5連勝でホッカイドウ競馬での重賞初制覇となった。
残念だったのは、エーデルワイス賞も北海道2歳優駿も、期待された地元ホッカイドウ競馬所属馬が勝つことはできなかったこと。今年ここまで、地方競馬で行われているダートグレードで地方馬が勝ったのは、なんと、かきつばた記念(4月29日、名古屋)のタガノジンガロ(兵庫)だけ。中央勢とも互角に戦える可能性の高い2歳戦でも勝つことができず、中央対地方ということでは、地方競馬はたいへん厳しい年となっている。たとえばこの状況のまま年度代表馬を選ぶとなったら、どうなるのだろう。ちょっと想像がつかない。
残り1カ月半。しかし可能性がないわけではない。2歳戦では、まだJpnIIの兵庫ジュニアグランプリと、JpnIの全日本2歳優駿が残されており、あとで触れるが、とくに兵庫には期待の2歳馬がいる。また、勝島王冠から始動する予定のハッピースプリントが、目標としている東京大賞典を勝ってくれれば、地方競馬にとってはハッピーエンドとなるのだが。
対中央ということでは苦戦している地方競馬だが、今、熱いのは兵庫だ。
先週11月5〜7日の3日間開催では、5日に木村健騎手が5勝を挙げ、翌6日には川原正一騎手が5勝。そして7日、今度は田中学騎手が5勝を挙げ、3日連続で別の騎手が1日5勝というめずらしい記録となった。
今年、兵庫のリーディング争いは、すなわち全国リーディングの争いとなっていて、11月13日現在、田中学234勝、木村健228勝、川原正一213勝で、これが全国のトップ3。4位は船橋の森泰斗騎手で208勝だから、昨年54歳で全国リーディングに輝いた川原正一騎手に続いて、今年も兵庫の、おそらく田中騎手か木村騎手のどちらかが全国リーディングを獲るのはほぼ間違いない。
そして兵庫所属馬では、現3歳世代での活躍に続いて、2歳世代でも“トーコー軍団”に熱い視線が注がれている。牝馬のトーコーヴィーナスが10月30日の兵庫若駒賞を勝ってデビューから5連勝。そのときの鞍上、木村健騎手のコメントが、「まだ半分くらいの力でしか走ってない」というもの。そのトーコーヴィーナスは、いよいよ11月26日の兵庫ジュニアグランプリで中央との対戦となる。
さらにここに来て、兵庫からもう1頭、スゴイ2歳馬が出てきた。11月7日のデビュー戦で、2着馬に4秒4もの大差をつけて勝ったインディウム(牡)だ。たしかに2歳の下級条件戦で、3着以内が一度もないというメンバーが相手だったのだが、鞍上の木村騎手は手綱を持ったままで後続との差をぐんぐん広げるという次元の違う競馬だった。1400mの勝ちタイム1分32秒2(良)は、兵庫若駒賞のトーコーヴィーナスの勝ちタイムからちょうど1秒遅いものだったが、前半は抑えたまま、3コーナー過ぎからは流すような競馬だったため、それなりのレベルの馬と一緒に走れば1秒以上タイムを縮められることは間違いないだろう。その期待の高さをうかがわせるのが、インディウムはデビュー前からすでに兵庫ジュニアグランプリに登録していたらしいということ。
今年、地方競馬で行われるダートグレードはあと7戦。地方馬の奮起に期待したい。