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阪神へ移転した影響

  • 2014年12月16日(火) 12時00分


個人的に大きいと思っているのは距離短縮組・延長組の力関係

 舞台を阪神に移した朝日杯FS。同じ1600mでも違いは出てくるのだろうか?

 分かりやすいところでは、関西馬がさらに優位となることが予想される。2歳馬で初めてのGIが輸送……などということになるとそのリスクは軽視できないものがあり、その有無が東西入れ替わる影響は多いだろう。

 もうひとつ、個人的に大きいと思っているのは距離短縮組・延長組の力関係だ。中山・阪神ともこの距離は全年齢で前走距離別成績を取ると同距離>短縮>延長の順になるのだが、2歳戦に限定すると中山は1400m組が延長をこなす傾向が強まり(積極的に買いというほどではない)、阪神は短縮組のあける穴が目立つ。

 阪神芝1600mで改修後に行われた2歳戦は125レース。勝率・複勝率で短縮組が同距離組を逆転してくるし、短縮組の回収率は単101%・複103%と高い。この高さは少数の穴による影響が大きいが、それを考慮しても複回収率は短縮>同距離>延長。前走で1600mより長い距離(多くは1800m)を使おうと厩舎が意図するような、スタミナに余裕のある馬がベターだということになる。

 先に同じコースで行われている阪神JFは、差し追い込み馬ばかりが勝つレースとなっており、今年のショウナンアデラも4角は12番手。そして、レースのラップは最後11.5-12.3とかかって終わっている。ここのギャップが0.8秒というのは小さいほうで、1秒以上という年も多いし、逆に10年の11.2-11.6というような形は珍しい。

 中山時代の朝日杯は、ラスト2ハロンのギャップが小さいレースで、例外は06年の1.1秒くらい。昨年は0.3秒差、その前は0.3秒、0.2秒、0.4秒。09年はマイナス0.1秒だ。阪神JFのほうが「実は最後みんなバテている」というテイストを感じる。牡馬と牝馬の違いはあるが、仮に朝日杯のラップが阪神JFに似ていくとしたら、レースの質も変わってくるはずではないだろうか。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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