◆朝日杯の栗東滞在関東馬に警戒
阪神JFでの関東馬の栗東滞在は、もはや恒例行事になった感もあるが、舞台を阪神に変えた途端、朝日杯FSも関東馬3頭が栗東に滞在。正直、最初に思ったことは「これまで来た関東馬と同じように、栗東の坂路や逍遥馬道の優秀さを強調することになれば、またしても美浦との設備の差がクローズアップされて、関東陣営にとっては自らの首を絞めることになりかねないのでは」という、おせっかい的な心配事だった。
しかし、ブライトエンブレムの小島茂之調教師の話を聞くと、そんな心配も吹き飛んだ。いわく「馬は常に変わっていくものだし、輸送した後で自分がイメージしていたものと違う姿になっているのは、よくあること。特にデビューしてから1年にも満たない2歳馬にとって、これだけの長距離輸送は経験がないから、より輸送前のイメージと違った姿になってしまう可能性が高い。そうしたリスクをできるだけ軽減するために、朝日杯に使うのなら絶対に栗東に入りたいと思っていたんです」。
栗東に滞在させる関東の調教師は、滞在の経費はもちろん、以前より少なくなったキュウ舎人員の中でのスタッフの派遣…様々な代償を払いながら、よりよい状態で馬を出走させようと苦心している。こうした、きめ細かな行動を取るトレーナーが結果を出すというのも、ある意味当然なのだろう。
栗東滞在の関東馬が大舞台で好成績を残すのは、栗東の坂路や逍遥馬道の効用よりも、もっと違うところにある…小島茂師の話を聞いて、そう痛感した次第だ。朝日杯FSの栗東滞在関東馬には、やはり大いに警戒が必要だろう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)