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3強をはじめ、有馬記念出走馬の強みと弱みを分析!

  • 2014年12月26日(金) 18時00分


◆エピファネイアが勝つためには

 新しい枠順決定システムが多くの有力馬にとっては裏目となり、馬券的には面白くなってきた有馬記念。この原稿を読んでいるようなコアファンにとっては楽しみが増したのではないかと思う。

 ジャパンカップ組から見ていこう。エピファネイアの前走は騎手の腕ももちろんあったが、前付けしたうえで前と横に壁ができるという完璧な展開。折り合いそのものは100%ついていたわけではなく、外からレースをしなくてはならない今回はかなり苦労するだろう。勝ち切るためには敢えて出したうえで逃げ馬の直後につけるのが良いと思うが、そこまでする覚悟が陣営にあるかどうか。

 ジャスタウェイは調教いまひとつと見せておいてレースでは走ってしまった。距離もぎりぎりだったことを考えると、この馬の能力そのものはやはりレーティング世界一にふさわしいものがある。ただ、ぎりぎりの距離で外枠、さらに凱旋門賞以降のステップはかなり厳しいもの。外々を回ってなお勝ち負けになるようなら本当に怪物だ。

 ジェンティルドンナは人気どころで唯一、良い抽選順を貰った。セオリー通り内枠を選択したが、あとはここから捌けるかどうか。東京得意の馬が初の中山、しかも引退戦や出走奨励金2000万円といったことを考えてしまうと、実力をリスペクトしてシルシは回すが、軸にはできないというのが正直なところだ。

 ワンアンドオンリーは菊花賞こそ外枠+折り合いで言い訳ができる競馬だったが、JCで古馬に負けたことで幻想許容量が無くなってしまった感はある。脚質的にも後ろからの決め打ち外差しだと苦しいコース。神戸新聞杯のような競馬をすることが好走の前提だ。

 フェノーメノはここ2戦の大敗を見ると強気にはなれないところ。オッズ次第でのヒモ穴、といったくらいの評価が妥当か。デニムアンドルビーも同様で、こちらは中山に替わっての上積みが想像しづらいだけにさらに苦しい。

 続いて他の組。ゴールドシップは、13番枠を克服したことがあるだけに枠順そのものは問題にならないはず。この馬はスイッチが入るかどうかが全てで、入れば完勝まである。今回は岩田騎手に乗り替わるが、阪神大賞典を2番手から圧勝した時のイメージを持っている騎手というのはプラスなのではないかと思う。

 ラストインパクトは重賞2連勝。ディープインパクト産駒のわりには上がりの速さに依存しないタイプだし、中京をこなしているので中山でも走れる可能性はある。今回は中山初参戦の菱田騎手だが、若さある積極的な位置取りをすればチャンスはあるだろう。仮にここでダメでも、来年の宝塚記念あたりで期待したい馬である。

 そのラストインパクトに日経賞で先着しているウインバリアシオン。聞いているところでは、脚元の不安そのものはさほどでもないようだ。前走はトータルの時計が速すぎてこの馬には不向き。前半スロー寄りに流れれば馬券圏内があってもおかしくはない。

 弥生賞1着、皐月賞2着と中山との相性の良さを見せているのがトゥザワールド。全兄トゥザグローリーが2回複穴になっているのも不気味。菊花賞ではワンアンドオンリーと同様折り合いを欠きまくったが、今回は枠が内寄りだ。外国人騎手への乗り替わりも秋GIではプラス材料で、同様の観点からラキシスにも注意はしておきたい。

【更新スケジュールのお知らせ】
いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。年内の更新は今回が最後となり、年明けの初回は1/3(土)になります。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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