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遅い有馬記念

  • 2014年12月27日(土) 12時00分


◆共通点は強いて挙げれば…

 今年の有馬記念は12月28日に行われる。

「で、29日は東京大賞典で、30日は競輪グランプリだから、金がいくらあっても足りないよね」

 スポーツライターの阿部珠樹さんが、困ったような口調とは裏腹に、嬉しそうな表情でそう言っていた。

 イベントがつづくのはいいのだが、何が困るって、年賀状だ。私はプリントした年賀状に一筆添えるのを習慣にしており、毎年、有馬記念が終わってから、その感想などもまじえて書いている。というか、有馬が終わってからじゃないと、一年が終わった感じがまったくしないので、「今年もいい年でしたな、ワッハッハ」なんて空々しいことを書くことはできないのである。

 こんなに遅く有馬記念が行われた年が過去にあったのだろうか。と思って調べてみたら、同じ28日に行われた年が2度あった。それも2003年と08年だから、わりと最近である。

 03年はシンボリクリスエスが2着を9馬身ぶっチギって連覇を果たした。

 08年はダイワスカーレットが逃げ切った。2着に最低人気のアドマイヤモナークが来て、あの年話題になったタレントの名から「山本モナ馬券」と言われた。

 あの2年と今年に何か共通項があれば、今年の有馬を推理する材料になるかもしれないが、どうだろう。

 03年はネオユニヴァースがクラシック二冠、スティルインラブが牝馬三冠を獲った。古馬ではヒシミラクルが人気薄で天皇賞・春と宝塚記念を勝っている。

 08年は、贔屓のスマイルジャックとベンチャーナインの小桧山勢が三冠すべてに参戦し、古馬ではウオッカやダイワスカーレットといった名牝の活躍が目立った。三浦皇成騎手が新人最多勝記録を更新し、個人的には『伝説の名ジョッキー』を上梓した。

 ……と見てみたが、特にこれといって今年に通じるものはない。

 しいて言うなら、クリスエスもスカーレットも、ともに有馬を圧勝した、ということか。スカーレットは2着に1馬身3/4しか差をつけていなかったが、着差以上に大きな力の差を見せつけた。

 今年も、強い馬が有馬を圧勝して、一年をすっきり締めくくるのか。「強えェェー!」という勝ち方をするとしたら、エピファネイアか、ジャスタウェイか、ワンアンドオンリーか、どれだろう。

 先日1週間ほど帰省したばかりだが、年末年始も札幌で過ごすことにした。

 そして、大晦日、12月31日の午前10時台、AIR-G'(FM北海道)の年末特別番組「LOCK ON RADIO」にゲスト出演する。パーソナリティーは高山秀毅アナ。高山さんは「超」のつく競馬ファンで、番組を聴いていると、

 ――お、ここで馬の話に持っていくか。

 と嬉しくなるほど、たびたび競馬の話をしている。

 ラジオ局によくあるパターンで、彼は番組のパーソナリティをつとめるかたわら、ほかの番組のプロデューサーとして制作に関わっている。これまで、同局の人気番組「GTR」などに私を何度か呼んでくれたのも高山さんだ。考えてみると、私がゲスト出演したときのパーソナリティーはすべてDJ龍太さんだったので、高山さんとオンエアで話すのは今回が初めてになる。

 リスナープレゼントとして、『虹の断片』のサイン本を数冊用意していく。プレゼント目当てでも、聴いてくれると嬉しい。北海道のみなさん、よろしく。

 前回帰省したとき、実家の近くのイオンで、靴底に滑り止めが埋め込まれた冬用のビジネスシューズを買った。雪や氷の上ではスパイクが利いているかのようにビタッと止まって非常に助かる。だが、注意書きに「タイルでは滑ったり、カーペットでは引っ掛かることがあります」とあるように、ビルのなかなどでは予想外の滑り方をしてヒヤッとすることがある。それにときどき、「ブリッ」と誤解を招くような音が出る。

 ――いや、これはケツから出た音ではありません。

 と否定するのも面倒なのでそのままにしているが、便利なものには、必ず何らかの落とし穴があるものだ。

 例によって、何を書いているのか、だんだんよくわからなくなってきた。

 今年も「熱視点」にお付き合いくださり、ありがとうございました。
 それではみなさま、よいお年を。

【更新スケジュールのお知らせ】
いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。年内の更新は今回が最後となり、年明けの初回は1/10(土)になります。

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作家。1964年札幌生まれ。Number、優駿、うまレターほかに寄稿。著書に『誰も書かなかった武豊 決断』『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』(2011年度JRA賞馬事文化賞受賞作)など多数。netkeiba初出の小説『絆〜走れ奇跡の子馬〜』が2017年にドラマ化された。最新刊は競馬ミステリーシリーズ第6弾『ブリーダーズ・ロマン』。プロフィールイラストはよしだみほ画伯。バナーのポートレート撮影は桂伸也カメラマン。

関連サイト:島田明宏Web事務所

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