シンザン記念表彰式での鎌田結衣さんと上山愛美さん
シンザン記念の表彰式に華を添えるため、恒例のシンザン記念出張
去る1月9日より12日まで、京都に行ってきた。恒例のシンザン記念出張である。シンザンの故郷であるここ浦河から、毎年夏に行なわれるシンザンフェスティバルにて選出されたミスシンザン2人が、シンザン記念の表彰式に華を添えるため、競馬場を訪れるのだ。今年のミスシンザンは鎌田結衣さんと上山愛美さんの21歳コンビ。それにフェスティバル実行委員が私を含めて4人。そして町役場の水産商工観光課から2人が加わり、合計8人の団体となった。
このミスシンザン派遣は、1990年から始まった。この年は午年で、競馬ブームが過熱していた時代だからこそ実現したのだろう。ミス2人の往復交通費などはJRAから支給され、以来25年にわたり続けられている。
今年の2人はどちらもなかなか個性的であった。まず鎌田結衣さんの方は、正真正銘の牧場の娘である。カミノクレッセなどを生産した昭和牧場に生まれ、鎌田さん自身も、歴代のミスの中では最も競馬に詳しい1人であった。
またもう一人の上山さんは菓子店でのケーキ作りに従事するが、高校時代に地元浦河町のユルキャラである「うららん、かわたん」(2体いる)をデザインしたという経歴を持つ。
つまり今回は、浦河町をPRする上で、これ以上の適任者がいないようなコンビがミスシンザンとして派遣されることになったわけだ。
ミスシンザンの鎌田結衣さん(左)と上山愛美さん(右)とうららんとかわたん
ミスシンザンとしての最大の任務は、もちろん本番のシンザン記念にて、表彰式でプレゼンターを務めることだが、それ以外にもさまざまな仕事がある。今回の場合は、事前に漁業協同組合の協力により、日高昆布の袋詰めを1000個、PRのためのプレゼント用として譲り受けていたことから、シンザン記念当日の朝、競馬場開門と同時に、社杯を提供する日刊スポーツ社とのコラボで、場内テントにてこれらを配布する役を務めた。
いくらPR用とはいえ、とりわけ関西の方々にとって昆布は高級品である。入場者に片っ端から手渡すことは法律上できないらしく、日刊スポーツ社の主催する先着1000名対象のスピードくじ(本紙持参の方のみ参加権利あり)にテントを訪れた方に配る方式しか許可されなかった。
テント内には灯油ストーブなども設置されており、暖房がないわけではなかったものの、外にいるのと大差ない気温の下、約2時間かけての昆布配布はさぞ大変な作業であったろう。1000人をさばくのに、GI開催日でさえ1時間はかかってしまうという(昨秋のエリザベス女王杯)。今回はGIII、しかも1月の寒い時期だから、2時間かかるのはやむを得なかった。そこには前述したユルキャラのうららん、かわたんも駆けつけ、町役場職員が中に入り、2時間動きっぱなしで愛想を振りまいていた。
以前はテレビ出演などもあったが、今はラジオのみ2本出る。その他、日刊スポーツ社の取材を土曜日に受け、翌日の競馬欄にそれが掲載されるという手順になっている。
それなりにミスシンザンは多忙な2日間を送るのだ。そして、最も重要なお役目が、日曜日のメインであるシンザン記念となる。
土日ともに晴天に恵まれたものの、この時期の京都は案外寒く、ウイナーズサークルにいると冷たい西風が吹いて体が冷えてくる。シンザン記念は2番人気のグァンチャーレが勝ち、父のスクリーンヒーローに産駒初重賞勝ちをもたらした。また鞍上の武豊騎手はペールギュント以来10年ぶり7回目の同レース制覇であった。
シンザン記念は武豊騎手騎乗のグァンチャーレが優勝
グァンチャーレの生産は新冠・中央牧場。北出成人厩舎の管理で馬主は松本俊廣氏。戦績はこれで6戦2勝。ゴール前は外からロードフェリーチェ、ナヴィオンなどに迫られたものの、アタマ差で抑えての勝利であった。
近年、このレースから後々に出世する馬が出ており、注目度が高くなっている。グァンチャーレが今後どんな活躍を見せてくれるかにも注目して行きたい。
シンザン記念後の記念撮影
勿論、レース後にミスシンザンの2人が、打ち合わせ通りに無事大役を務めたことも付記しておく。また、余談ながら、シンザン記念後に行なわれた京都12レース(4歳1000万下)には、昭和牧場生産のラヴァーズポイントが出走し、馬券には絡めなかったものの、4着に入線する健闘であった。事前にチェックしていたらしい鎌田結衣さんを筆頭に、この時にはゴンドラ席からみんなで声援を送り、大変な盛り上がりとなったことも触れておきたい。
※次回更新は筆者取材のため1月22日(木)18時とさせていただきます。あらかじめご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます。