バイク用の電熱グローブ導入など調教ウェアも日々進化中/トレセン発秘話
◆久保助手「追い切りなんかではもちろん使えないけど、今の時期、運動の時なんかに使うと重宝するんだ」
馬場開場時間が通常より早い週末にトレセンで取材をしていると、馬道や運動場などで闇夜に2つの赤い光がうごめいているのを見ることが多くなった。化け物がトレセンをはいかいするようになった? まあ、そんなわけはなく、寒い時期は電熱グローブをつけて調教をする人が多くなったのがその真相だ。
電熱グローブとは、手袋の中にカーボンファイバーなどの熱線が通っており、小型バッテリーから熱を伝えて手を温める代物。今、トレセンで多く見かけるものは、温かさを3段階に分けられるもの。その段階によって青→白→赤とマークが点灯するようになっており、それがトレセンで見かける赤い光の正体だったというわけ。
「俺は3年前ぐらいから使っているよ。バイク用の電熱グローブは厚手にできているから、微妙な感覚が必要な追い切りなんかではもちろん使えないけど、今の時期、運動の時なんかに使うと重宝するんだ」とは石坂キュウ舎の久保助手。
気温の低い時間帯に外で仕事をするこの世界では、厳寒期の調教時の、特に手足の冷たさが尋常ではないという話をよく聞くが、最近はこうしたアイテムで厳しい冬を乗り切ろうと皆、努力している。時代が進むにつれて調教の仕方が進化していくように、調教時に身に着けるウェアも進化を遂げる実例といえよう。
そういえば、かつて夏場に蒸れ防止のため、ヘルメットの裏側に女性用ナプキンを貼り付けて調教し「吸水力が半端じゃない」と自慢していた助手もいたが…はやることもなく廃れていったことは言うまでもない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)