▲変化を求めてのコーチ探し、岡部幸雄さんかそれとも…
馬に乗ったことがないコーチ
藤原英昭厩舎の調教を手伝いながら、乗馬の基礎を学んだのが2008年から2009年。1から無心で取り組んだことで、確かに自分は変わっていった。そんな実感を得て、さらなる向上を思ったとき、真っ先に感じたのがコーチの必要性だった。
とはいえ、そもそも競馬界にはコーチ業が存在しないから、すぐに見つけられるはずもない。さて、誰にお願いしようか──と考えるなかで、最初に頭に浮かんだのは、偉大なる大先輩、岡部幸雄さんだった。
コーチを探していることは、お世話になっている藤原厩舎のスタッフにも話してあった。ある日、「岡部さんにお願いしてみようかと思ってるんやけど、どうかなぁ」と相談すると、「ええんちゃうか」とみんなが頷いた。“岡部さんなら間違いない。岡部さんの指導を受ければ、確実にステップアップできるはず”──お願いするタイミングを探る一方で、どうしても自分のなかには迷いがあった。
岡部さんという人は、自分が言うまでもなく、日本を代表するものすごいジョッキーだ。いっぽうで、自分と同じ“馬乗り”を生業としてきた人でもある。そこで思った。自分と同じ世界で生きてきた岡部さんは、自分の発想と大きくかけ離れた理論を持っているだろうか──。
もちろん、岡部さんにコーチをお願いすることで、向上することはたくさんあるはずだった。しかし、そのときの自分が求めていたのは劇的な変化。マイナーチェンジではなく、フルモデルチェンジだった。そのために必要なのは、おそらく自分の発想外の“何か”──根拠は何もなかったが、なぜかそんな確信があった。
時を同じくして、角居さんから紹介されたのが現在のコーチだ。サプリメント会社のスタッフとして角居厩舎と契約している人物で、かつては、