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競馬に対する思いの中に

  • 2004年03月10日(水) 13時09分
 クラシックがぐんと近づく中央競馬は、日増しに話題が広がっていきます。そろそろ、自分なりの予測を立ててみるときですが、春の4つのクラシックレースの中でも、やはりダービー馬をみつけることが一番でしょう。

 競馬の祭典、その主役をつかむ、これこそ醍醐味。わくわくしながらその日を待つことになります。

 さて、その前に、エキサイティングなシーンが待っています。ハルウララに武豊騎手が騎乗する3月22日の高知競馬、こういう競馬もあるのだという、ひとつの社会現象ですね。いつまでたっても負け続ける馬をチヤホヤするのは邪道だと、小理屈をこねる人もいるにはいますが、元々、競馬もひとつの社会現象と自分に言い聞かせていた時期もあって、こういうときには、それなりに客観的になってみるのも大切でしょう。

 ハルウララがいくら負けてもレースに出走し続けるのは、ハルウララ自身の意思ではないでしょう。本当は、ここを終えたら先がないので、なんとか競走馬として生き続けさせようという人間の愛情がそうさせているのです。ハルウララは、いくら負けても、走る気力までは失うことはありません。だからこそ走り続けているのでして、そのことはサラブレッド魂を感じさせます。本当は気が優しくて臆病であっても、コースに出れば最後まで走り抜く、だからこそ、みんな身近に感じているんですね。

 これに、誰もが認める武豊騎手が騎乗するのですから、これぞ滅多にない社会現象です。頼まれたら日本全国どこへでも出掛けるという彼の心意気は、さすが第一人者の風格です。競馬のためならという強い思い、これこそ誇りに感ずるべきことでしょう。

 競馬に対する、そこで走る馬に対する人の思いの中に、このハルウララ現象もあるのだということを、この春、大勢の人が知ったのは、大切なことだと思います。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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