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Facebookが縁で、海外5か国で6頭の馬主に! 異色の馬主を直撃(2)

  • 2015年02月23日(月) 20時00分


――海外に複数馬を持つようになって、いまでもやり取りはメールのままですか?

「そうですね。この間電話がかかってきましたが、ほとんど何を言っているのかわからなかったので、『イエス』と『グッバイ』だけしか言えませんでした(笑)」

――Facebookを使って馬を探しているんですよね?

「いえ、いまは各国のジョッキークラブのホームページに掲載されている調教師のメールアドレスから問い合わせをしています。そのときはこちらから条件を出して、それに合った馬を探せるかどうかということを確かめていますね。必ず50%ずつで持てるかを聞くので、それでかなり相手が絞られます。あとはどんな馬を持っているのか、どんな馬の買い方をしているのかということは聞くようにしています。セリなのか、庭先なのかという」

ハンガリーの飼葉代は月に約6万円が相場


――向こうの馬事情というのはどうなのでしょう。馬のレベルとか、飼葉代の相場とか。

「ヨーロッパでいうと、一番馬の質が劣るのはスウェーデンでしょうね。それからポーランド。いまはイタリアなんかも安く馬が買えます。最初に買ったデンマークだと、100万円も出せば高い部類になるみたいですね。飼葉代はハンガリーが一番安くて、月に6万円くらい。高いのはイギリスで30万円前後ですかね」

――なるほど、飼葉代が最も高いイギリスでも、日本の地方競馬なみということですね。馬主の資格制度に関しては日本との違いはありますか?

新聞

▼イギリスの新聞に勝負服の写真とともに記事が掲載された


「日本のように、一度資格をとったらずっと馬主でいられるということはなくて、3年とか5年とかの更新制になっているところが多いです。そこの期間は国によって違いますけれどね」

――各国の調教師から来る請求に関してですが、どういう方法で支払っているんですか?

「振り込みですね、フランスも、イギリスも、ハンガリーも。領収書がほしいと頼んでも、出してくれないような国も多いですけれども(笑)。入着賞金に関しては、ほとんどその国に積み立てていますね。いまは結構、フランスに貯まっていますね。次に馬を買うときに使いたいと思っています」

――出走馬のレースはすべて現地で観戦されているんですよね?

「いいえ、クラシックレースとか、デビュー戦とか、特別なとき以外は日本で動画を確認していますね。最近はほとんどが現地の公式サイトに掲載されていますが、スウェーデンやデンマークなどは撮影していないレースもあるので、そういう場合は専門の業者からビデオを取り寄せています。費用は数千円くらいですね」

伊国では突然インタビューを申し込まれ…


――イギリス、ハンガリー、オーストラリア……すべての国のレースを見に行くと世界一周するくらいになります。

「それが楽しいんですよね。好きな競馬を通じて、いろんな国の文化や人柄に触れることができるというのが」

――それも馬主という立場で、というところもポイントですね。

「一度、こんなことがありました。コペンクラブという名前の馬をイタリアのピサ競馬場で使うときに、現地に行ったんです。事前に実況アナウンサーのエンリコ・クエンシーという方とFacebookを通じてやり取りしていたんですが、競馬場についたらインタビューさせてくれと言われて、で、本当にレースの合間にパドックのなかでインタビューすることになって」

コペンクラブ

▼イタリアで所有していたコペンクラブ。写真右が管理したデービス・グリッリ調教師


――どんなことを聞かれたんですか?

「イタリアの競馬をどう思うかとか、なぜイタリアで馬を持とうと思ったのかとか、いま聞かれているのと似たことです(笑)。そのときは現地の日本人の方に通訳としてついてきていただいたのでやり取りは問題なかったのですが、観客の皆さんはもちろん、騎手の方も大勢見ておられたので、とにかく舞い上がってしまいました」

――海外で馬を持っているからこそできた体験ですね。

「とても忘れがたい経験だったので、それにちなんで、次にイタリアで持った馬に『サプライズインタビュー』と名付けたんですよ。イタリアとは縁があって、その後日本で騎乗したいというジョルジェ・ぺロヴィッチ騎手の希望も現在受けていて、その実現に向けて協力者探しをしている最中です(取材後、2014年9月6日〜10月31日で短期免許取得が実現)」

――今後は、どういうような海外馬主生活を送るつもりですか?

「僕がしている経験を、多くの方々と共有できればと思っています。たとえば、現地のオプショナルツアーを企画して、調教師の方などと競馬関連施設を訪問することを考えています。実際にイタリアやオーストリアなど現地の関係者からはそんな要望もいただいているんですよ。まだ力不足で実現できていませんが、旅行関係に強い方がおられたら、ぜひお力をお借りして実現したいですね。ほかにもいろいろとアイデアを持っているので、共感してくれる方がいれば、ぜひ海外での競馬体験を分かち合いたいと思っています」
(取材:2014年5月23日)
プロフィール

▼写真右:齋藤隆史氏、有限会社バースデイ代表。イギリス、ドイツなどに計6頭の競走馬を所有している。写真左:奥野庸介氏、有限会社サラブレッド インフォメーション システム代表取締役。

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