谷厩舎ジャッカル回避のどんよりムード吹き飛ばすシゲルカガ/トレセン発秘話
◆森脇キュウ務員「今、話題になっているのは北陸。カガなんてピッタリの名前やろ」
最終追い切り(18日)後に右前脚の爪に不安が出て阪神大賞典の出走を回避したトーホウジャッカル。アクシデントから一夜明けた19日朝、谷調教師は「馬はだいぶ楽になっている様子だった。内出血しているし、挫石でも膿がたまってしまうケースもあるので、2〜3日様子を見てからになるけど、この感じなら一過性のものだと思う。天皇賞(春)は大丈夫じゃないかな」。
ゴールドシップとの「新旧菊花賞馬対決」が見られなくなったのは残念だし、大目標の春天に向けて大きな誤算が生じたことにもなるが、症状が悪い方に向かっていないのは何より。2歳時に腸炎で生死をさまよいながら、史上最速で菊花賞を制した不死鳥のような馬だけに、今後の劇的な回復を待ちたいところだ。
キュウ舎にとって看板馬のつまずきは、大きなリズムの狂いにつながりかねない。そんなどんよりしたムードに活を入れるように「今週は俺の馬が面白いぞ」と話しかけてきたのは千葉S(22日=中山ダ1200メートル)にシゲルカガを出走させる森脇キュウ務員だ。
「今、話題になっているのは北陸。カガなんてピッタリの名前やろ。しかも北陸新幹線の名前は“かが”やきやで」
単なる冗談に聞こえるかもしれないが、久々のダート転戦となるここは確かに勝負どころだ。ここまで芝で全4勝を挙げている馬だが、父パイロといえば、産駒のほとんどがダートで勝ち鞍を挙げているバリバリの砂血統。一発ムードが漂う。
振り返れば、谷キュウ舎の快進撃が始まった2013年に「これから“タニノミクス”が始まる」と予言したのは誰あろう、この森脇キュウ務員。看板馬の一頓挫という停滞ムードを吹き払ってくれるのではないかと期待せずにはいられない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)