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前走は衝撃の2着ミッキーアイル/トレセン発秘話

  • 2015年03月25日(水) 18時00分


◆音無調教師「この中間は前走とは違って調整もうまくいっている」

 阪急杯の最終追い切りを前にしてのこと。ミッキーアイルを管理する音無調教師はスタッフに対してご立腹だった。いわく「日曜の稽古は15-15の調教をしておけと言ったのに…。なんで追い切りより速い時計を出してしまったんや」。

 ミッキーアイルは阪急杯に向けた1週前追い切り(2月18日)で坂路4ハロン53.0-12.7秒のタイムを出しており、週末は軽めにとどめて翌週の最終追い切りに備えるはずだった。

 が、何の手違いか、22日に実際に刻まれたのは52.6-12.4秒の猛時計。1週前追い切りの4日後に、それよりさらに速い時計をマーク…完全な調教失敗である。レース直前になってのこの誤算にトレーナーは「これで最終追い切りがすごくやりにくくなった。どうしたらええんや」と頭を抱えた。

 結局、ウッドで5ハロン74秒台という、しまいだけの追い切りにとどめてレースに臨むことを余儀なくされたのだから、調教過程としては決して褒められたものではない。

 大抵こんな時はレースでもいい結果が出ないもの。しかもレース当日はディープ産駒には不得手なはずの不良馬場に。「これはカモか」と内心思っていた坂路野郎にとってハナ差2着好走は衝撃的だった。

「58キロの斤量を背負って、しかも道中ノメりながら、あそこまで走ってくれたからね。この中間は前走とは違って調整もうまくいっている。あとは前に行く馬が多い中、初めての1200メートルで鞍上(浜中)がどういう位置で競馬をするかだけだろう」

 音無調教師の表情は阪急杯の最終追い切り前とは対照的に上機嫌だ。

 この春、スプリントGIにターゲットを定めた理由についてトレーナーは「スピード競馬が全盛の今、ディープ産駒としてマイルだけじゃなく、スプリントGIも勝つことは将来、種牡馬になることを考えれば、大きな意味を持つ」と話す。

 国内の芝GIでディープ産駒がまだ勝っていない最短、最長の2つの距離(1200メートル&3200メートル)のうち、よりスピードが求められる距離で結果を出すことは、大いに意義があるのだ。初の1200メートルで昨春のNHKマイルCの覇者ミッキーアイルがどんなレースを見せるのか注目だ。
 (栗東の坂路野郎・高岡功)

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