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自在の差し脚を生かす/ダービー卿CT

  • 2015年04月04日(土) 18時00分


強敵2頭より前に

 すっかり立ち直ったどころか、伸び悩んだ3歳時よりはるかにスケールアップした4歳馬モーリスクラリティシチーの2頭は強力。ともに折り合いの不安がなくなり、追い出しての鋭さが違ってきた。とくにモーリスは、行きたがるスピード型から、控えて追い込む形を身につけて、ストライドの迫力が異なっている。前回は出負けしたうえ、内回り1800mの前半1000m通過63秒4の超スロー。そこで切れ味、総合力を問われる辛いペースになったが、11秒2-11秒9の直線だけで大外から10頭をまとめて差し切った。ここを突破するとき、たちまちトップマイラーの1頭に加わるだろう。

 クラリティシチーも、伸び悩んだ当時は自在型を目ざして、逆に中途半端な善戦タイプになりかけていたが、思い切って控えた前回が、それまでとは一変の鋭いマイルの勝ち方だった。完成に近づいている。

 ただ、流れはおそらくスロー。鞍上の判断ひとつで自在の差し脚を生かせるはずの6歳エキストラエンド(父ディープインパクト)から入りたい。今回はいつも以上のハードな乗り込みで、一段と身体の線が鋭く映るようになった。これまで岩田騎手とのコンビでは「3着、5着、6着」。うち2回は1番人気だった。なんとなく人馬のリズムが合わないというか、スタイルが異なるような印象があったが、今回の坂路で騎乗の最終追い切りは、これまでよりずっとスムーズに映った。また、この中間のこれまで以上にハードな調教により、必ずしもマイラー体型ではないのではないか、と映った身体のバランスも、連続してマイル戦にマトを絞った出走も関係し、上のローエングリンに似た印象を与えるようになっている。直線一気というタイプではないから、当面の強敵モーリス、クラリティシチーより前に位置するとき、速い脚の長続きする長所が生きると考えたい。もちろん、前出の2頭が強敵。

 スローになる公算大。まして今週から、内ラチを移動したBコースである。先行できそうなタイプは侮れない。この枠なら下げるとは思えない本質スピード型のカオスモス、横山典弘騎手なら先行策があるシャイニープリンス、行けば行ける目下好調のコスモソーンパークは要注意。デキ一歩でもこの枠なら先行すること必然のマイネルメリエンダも、抑えには必要か。

 阪神の大阪杯は、ここは断然人気でも前回以上の動き、馬体のキズナの勝機だろう。この馬、現在の日本のエース格を自負するが、ハープスターが桜花賞の一冠だけに甘んじているのと同じで、現実のG1勝ちは日本ダービーだけであり、このG2で負けては秋の大展望(凱旋門賞再挑戦)は、少々虚しい希望にもなりかねない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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