ドゥメランテ、実は右回りがピッタリ/トレセン発秘話
◆元ジョッキーのある調教助手「道中で頭を上げてひっかかった上に、外を回り、直線でも最後は馬に遊ばれていた」
昨年暮れの有馬記念“有終V”時が4番人気止まりだったことに象徴されるように、ジェンティルドンナは右回りが不得手とされていた。イメージが定着してからは右回りの舞台に出走するたびに不安視されたものだが、調教役の日迫助手が一貫して力説していたのは「左手前が得意な馬だから、直線を左手前で走る右回りがダメなわけがない。直線の短い右回りなら左手前でそのまま走り切れるから、右回りのほうが伸びはいいはず」。
実際、サウスポーという印象が強かった割には通算GI7勝の内訳は左回り4勝、右回り3勝。偏った成績ではなかったとなると、日迫助手の説は少なくとも間違ってはいなかったことになる。
左回りで直線の長い東京では、直線半ばで右手前から得意な左手前に替えることで再加速し、勝ち鞍を積み重ねてきたジェンティルドンナ。実はそれと似たような走りをしてきた馬が皐月賞出走馬の中にいる。ドゥラメンテだ。
ここまでの4戦すべてが東京。ずっと右手前で走って伸び切れない馬も少なくない中、新馬戦の時から右→左手前と上手にチェンジすることで、常に上がり最速の脚を繰り出してきた。ジェンティルドンナがそうであったように、左手前のほうが得意なのか…。だとすれば、直線を左手前で走れる右回りの中山が悪いわけがない。
元ジョッキーのある調教助手が、こんなことを言っていた。
「共同通信杯のドゥラメンテは道中で頭を上げてひっかかった上に、外を回り、直線でも最後は馬に遊ばれていた。対してリアルスティールは(福永)祐一君が200%の上手なレースをしていたからね。どっちが強いかとなればドゥラメンテのほうだと思うよ」
ちなみに鞍上が石橋からミルコ・デムーロに乗り替わることについては「(日本人の)元騎手としては、こういう乗り替わりの馬がクラシックを勝ってしまうのは正直、面白くないんだけど…ね」。要は地力勝負になれば、ドゥラメンテが皐月賞の栄冠を勝ち取る可能性は相当高いというわけだ。
同じ堀キュウ舎には無敗のサトノクラウンがいるため、陰に隠れる格好になってしまったドゥラメンテだが、実は右回り巧者の可能性もある上に、能力の高さは某元ジョッキーのお墨付き。要注意の存在だろう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)