◆ベストターンドアウト賞を受賞
香港のクイーンエリザベス2世Cは、日本では天皇賞・春と同日か1週違いという日程ゆえ、12月の香港国際競走の開催と比較すると日本からの遠征馬は少ない。とはいえ3年前にこのレースを制し、それが結果的に生涯唯一のGIタイトルとなり、そして種牡馬になったルーラーシップがそうだったように、今回日本からただ1頭参戦したステファノスもそうした香港のさまざまな条件への適性に期待しての挑戦だった。
相手は国際GIらしい有力馬が揃い、GIIIのタイトルしかないステファノスはさすがに単勝18倍の8番人気と評価は低かったが、有力馬にもそれぞれ不安がないわけではなかった。
昨年末の香港Cを制し、このレース連覇もかかる地元香港のチャンピオン、デザインズオンロームは、ドバイシーマクラシックに遠征して4着に敗れた(3着はワンアンドオンリー)反動がないのかどうか。また、スタートしてすぐに1コーナーに突入するシャティンの2000mのコースで12頭立て11番枠というのも不運といえる。
2年前のこのレースの覇者ミリタリーアタックは直前に脚部不安が指摘され、出走できるかどうかはレース当日朝の獣医による診断待ちだった。オーストラリアのクイーンエリザベスSを制したクライテリオンは中1週での遠征という強行軍だ。
近年、海外遠征の際の日本馬の多くはその仕上げが素晴らしく、ステファノスの関係者はパドックでベストターンドアウト賞の表彰を受けていた。
5番枠からスタートしたステファノスは積極的に好位を取りに行き、向正面に入って隊列が落ち着いたところで5番手につけた。そして勝負どころの4コーナー、外からブレイジングスピードにぴたりとつかれ、すぐ前にはクライテリオンとミリタリーアタックがいた。
▲スタート後、積極的に好位を取りにいくステファノス
直線を向いて、ミリタリーアタックはすでにそこから伸びるという手応えではなく、クライテリオンも一瞬追い出しを待っていたようで、ステファノスは自分から動いていける場所を見出すことができないような場面があった。