▲「アメリカのホースマンたちの気質」を痛感した出来事を告白
たった一度の帰国で状況が一変
2012年の8月3週目、札幌記念でダークシャドウに騎乗するため、一度帰国。レース後、その日のうちに飛行機に乗るという、文字通りのとんぼ返りだった。
が、そのたった一度の帰国が、アメリカでの自分の状況を大きく変えた。帰国前、使うレースはすべて自分を起用してくれていたパトリックも、競馬はもちろん、調教にすら乗せてくれなくなった。
「行ったり来たりしていると、本気度を疑われる。遊びで来てると思われるから、帰らないほうがいい」
渡米当初のエージェントの忠告が、その状況になって初めて実感として迫ってきた。あらかじめ、周囲の人にも「その日だけ日本に帰ります」と伝えてあったが、どうやらアメリカの競馬社会では無意味だったようだ。
ヨーロッパからは、短期免許で続々とジョッキーが来日しているが、アメリカのトップジョッキーたちはほとんどこない。短期免許での複数回の来日があるのはケント・デザーモくらいで、あとはビクター・エスピノーザが一度ある程度。日本で乗りたいと思っているジョッキーは多いと聞くが、トップジョッキーですら、行ったり来たりしている間に乗り馬がいなくなるらしい。
エージェントいわく、