同期同厩ハープに代わり! エトワール激走/トレセン発秘話
◆松田博師「ヌーヴォレコルトが人気なんだろ? あの馬とはローズS、秋華賞ともそんなに差がなかったからな」
GIタイトルは1つだけなのに、これだけ注目度が高かった馬もいないだろう。7日に現役引退が発表され、10日には早くもキングカメハメハと交配したハープスターのことだ。GIタイトルの数では同じ松田博厩舎の先輩である名牝ブエナビスタの6勝に遠く及ばないが、桜花賞の直線17頭抜きなど、走った時のインパクトは同レベルのものがあった。
「ブエナビスタとはタイプが違うからどっちが上とか比べるのは難しいけどな。切れ味でいえばハープスターは相当なものだった。あまりにも切れるから、見ているこっちが不安になるぐらい」とは松田博調教師。主戦の川田は常々「本気で走ったのは新潟2歳Sの直線だけ」と話していたものだが、松田博師も「あまりに切れ過ぎるから馬が自分で加減していた面はあったのかも」と同様な見解を示している。
GI勝ちが桜花賞だけというのはハープスターのポテンシャルを思えば寂しいが、「GIは力があっても、全て取れるようなものじゃない。昨年の凱旋門賞(6着)だってゴールドシップの後ろに一旦下がりながら、あれだけの追い込みを見せた。見ていた人は分かるやろ」。記録より記憶に残る馬として、これからもファンの間でその走りは語り草になるのかもしれない。
松田博師にとっては、本来ならハープスターで臨むはずだったヴィクトリアマイル。一転、伏兵のタガノエトワールで挑戦することになったが、トレーナーは意外にも? それなりに手応えを持っての参戦だ。
「ヌーヴォレコルトが人気なんだろ? あの馬とはローズS、秋華賞ともそんなに差がなかったからな(ともに0秒2差)。しかも、こっちはGIを目標に調整してきたわけではないなかで、あれだけ走ってくれた。東京のマイルも合うと思うし、ちょっと楽しみだよ」
ハープスターに代わって、同期同厩舎の穴馬の激走がある? マークは外せない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)