◆すでに初勝利を挙げている騎手も
今年もこの4月以降に地方競馬でデビューした新人騎手の活躍が目立っている(成績はいずれも5月13日現在)。
昨年までの3年間で新人としてデビューした地方競馬の騎手には、とても新人とは思えないような活躍を見せる騎手がいて、しかも平均的にレベルが高く粒ぞろいだった。今年の新人騎手がデビューする前、地方競馬教養センターの教官に聞いたところ、「去年までのレベルと比べると、ん〜〜、どうかなあ」という疑問符がつくような話をしていたのだが、いやいやどうして、今年も続々と初勝利を挙げ、すでに勝ち星を重ねている騎手もいる。
今年の新人騎手は9名。そのうち8名がデビューし、すでに6名が初勝利を挙げている。当初は南関東所属を希望したが、「たくさん乗せてもらえることを期待して金沢に所属した」という柴田勇真騎手は、96戦5勝2着10回で、連対率15.6%という活躍だ。同じ金沢の栗原大河騎手もすでに82戦して3勝。船橋の臼井健太郎騎手は、船橋開催では7戦してすべて着外だったものの、他場での初騎乗となった5月11日の川崎第1レースで初勝利。デビュー戦で騎乗したジャノサワホマレに2度目の騎乗で5番人気。2012年6月の3歳時に1勝して以来、それが約3年ぶり通算2勝目という馬で挙げた初勝利だった。
そしてここまで最多の6勝を挙げているのが、佐賀の山口以和(もちかず)騎手。デビュー5戦目となった4月5日の第4レースで初勝利を挙げ、ここまで41戦しての6勝だから、なかなかの高勝率だ。
所属する手島勝利調教師にうかがったところ、「教養センター時代に見た時にも、同期の中で特に目立ってうまかったというわけではなかったです。ただ、とにかく3キロの減量があるときにどれだけ乗せてもらえるかが勝負ですから、こちらに実習に来ているときから、ほかの厩舎に顔を出して、1頭でも多くの攻め馬に乗せてもらえるようにとは言ってきました」とのこと。
なるほどこれまで6勝のうち、初勝利となった自厩舎のスズカアイキューという馬で2勝を挙げているが、それ以外の4勝はいずれも異なる厩舎の馬。師匠の教えに従い、今は調教に多く乗ることでチャンスをつかんでいるようだ。スタートして果敢に攻めて好位をとりにいく、いかにも新人らしい積極的な騎乗ぶりも、自厩舎以外の厩舎関係者へのアピールになっているのかもしれない。
4月以降にデビューして、まだ1カ月に満たない騎手もいる。初勝利に手が届いていない騎手も含め、今後の飛躍に期待したい。