緩いペースからの瞬発力勝負で逆転を
どの馬が先導することになっても速くはなりそうもない組み合わせになった。G1馬、G1級の対戦する東京のマイル戦だから、総合力の勝負になるのは当然のこと。まだ歴史は10年に満たないが、ウオッカ、ブエナビスタ、ホエールキャプチャ、ヴィルシーナが2年連続して連対している。
だが、最近の東京1400m-1600mに多発する「前半スロー」で展開すると、牝馬特有の切れ味優先の直線勝負が予測される。
展開(ペース)推理は、だいたいみんなが同じように考えると、逆になることが珍しくないが、最近のマイル戦を見ていると、東京だけに「ハイペース」に転じる可能性は低いだろう。
総合力というなら、G1【1-2-1-0】の
ヌーヴォレコルトが一歩リードは衆目一致だが、あえて死角を探すと、岩田騎手の得意とするイン衝き作戦が取りにくいと思える15番枠を引いたこと。
もう一つは、ここまで10戦、距離やペースを問わず、自身の最高上がり3ハロンが「33秒6」にとどまっていることか。決してジリでも、パワー優先型でもないが、スピード系のマイラーとは言いにくい一面はある。
まったく別タイプになりそうな、切れ味の
ディアデラマドレを候補の筆頭としたい。
前回マイラーズCの上がり「31秒9」は、超スローのため大半の馬が「32秒台」で上がっているくらいだから、後方差詰めのたいした記録ではないが、この馬、本物になり始めた3歳秋以降の10戦中、7回がメンバー中の最高上がり3ハロンである。
3走前のエリザベス女王杯では、ヌーヴォレコルトに0秒2差の3着にとどまったが、上がり33秒1はヌーヴォレコルトを「0秒5」も上回っていた。4走前の府中牝馬Sでは、上がり33秒2。切れ味自慢のスマートレイアーとほぼ同じ地点からスパートして、半馬身差で勝っている。
これまで、上がり「33秒3」以内で鋭く伸びたこと計6回。この鋭く伸びる末脚でヌーヴォレコルト逆転が果たせそうなのは、予測される今回のような緩いペースからの、瞬発力勝負しかないかもしれない。
自在型のヌーヴォレコルトに、道中で離されてはダメだが、3馬身差くらいの位置につけられればチャンスが訪れるはずである。東京でただひとつのG1と、ただひとつのG2を制している藤岡康太騎手(ほかにG3は10勝)の思い切りのいい、かつ、最有力馬ヌーヴォレコルトを見据えて射程に入れたレースを期待したい。スローで直線の馬群は固まっているだろう。うまく前が開けるとか、絶好のスペースが見つかるとか、幸運が味方して欲しい。スローの18頭立ての差し馬に期待するのだから、仕方がない。
今回はスランプ脱出の気配がある
レッドリヴェールと、ヌーヴォレコルトが最大の強敵。注目したい穴馬は、
タガノエトワールか。秋華賞3着馬であり、ディアデラマドレと同様に、1600-2000mがベストだろう。