▲制度の中身について危惧する声が多い外国人ジョッキーの通年免許、その危うさとは
初の合格者として、あの二人はふさわしい
今年2月、ミルコ・デムーロとクリストフ・ルメールが、JRAの新規騎手免許試験に合格したことが発表された。それに伴い、自分たちジョッキーも新聞各社の取材を受けたわけだが、どうやらそのときの自分のコメントが、一部で“制度自体に批判的”だととらえられたようだ。
各紙とも紙幅に限りがあるので発言すべてが活字になったわけではないが、ここではスポニチに掲載されたコメントを引用する。ここにはおよそ、自分が言いたかったことが要約されているが、この場を借りて、改めて自分の気持ちを伝えたいと思う。
「二人は短期免許での実績があり、人となりも知っているので異論はないが、門戸を広げ過ぎでは。海外とは教育も文化も違う。“公正確保”を実現するうえでも、今後はもう少し様子を見るべきでは」
このコメントにもあるように、ミルコとクリストフについては本当に大歓迎だ。ふたりの移籍については、誰ひとり反対していないと思う。なぜなら、あの二人は短期免許での来日歴が10年以上あり、十分な実績を残すなかで十分な信用も得てきた。何より日本の競馬が何を一番大事にしているかをわかっているし、最初に受かる外国人ジョッキーとして、あの二人以上にふさわしいジョッキーはいなかったと思う。
▲JRAジョッキーとして活躍しているルメール騎手(左)とデムーロ騎手(右)
日本の競馬が一番大事にしているものとは、言うまでもなく“公正確保”だ。日本の競馬学校は世界でも類を見ない厳しさだというが、なぜその3年間が必要かというと、技術的なベースを学ぶのはもちろんのこと、“公正確保”の認識をしっかり胸に刻ませるためだと思っている。そんななか、日本の競馬をよく知らない外国人ジョッキーが、猛勉強の末、試験をパスしてしまったら──自分が不安に思っているのはそこなのだ。
現行の制度では、日本語での質疑応答というハードルこそあるが、