▲最強のパートナー・ドゥラメンテと二冠目に挑むミルコ・デムーロ騎手
皐月賞で衝撃的な強さを見せつけたドゥラメンテ。ダービーではさらに期待が高まるけれど、共同通信杯では口を割って引っかかり、皐月賞では4コーナーで大きく外に膨らむなど、まだまだ粗削りな面も残っている。強さと共に不安も存在するドゥラメンテ。騎乗するミルコ・デムーロ騎手の胸の内は―。(取材・文:赤見千尋、撮影:編集部、下野雄規)
あの加速、あの瞬発力は、初めて味わう感覚でした
まずはミルコ・デムーロ騎手自身の体調を心配しているファンも多いだろう。皐月賞で騎乗停止になった後、母国イタリアに戻って右鎖骨の手術を行い、3週間競馬を休んでいたからだ。
「昨年鎖骨を骨折した時の影響で靭帯が切れていたので、それを治したんです。手術といってもリハビリが必要なものではないですし、筋肉や血管をサポートしている部分なので、特にレースに乗る時に影響する部位ではありません。体はまったく問題ないですよ」
と笑顔で語ってくれた。確かに復帰後も変わらずパワフルな騎乗を見せているし、26日の(プロ野球の)阪神対楽天戦では始球式を行っている。手術の影響はないと考えていいだろう。
デムーロ騎手が初めてドゥラメンテに跨ったのは、皐月賞の最終追い切りだった。
「体はまだパワフルという感じではなかったんですけど、速いキャンターになったら走り方にインパクトがあって、すごくいい馬だと感じました。レースのリプレイを見た時には、けっこう引っかかるなと思いましたけど、調教ではそこまで引っかからなかったし、コミュニケーションは取りやすかったですね」
調教では意外にも思えるほど乗りやすかったと言う。
▲「走り方にインパクトがあって、コミュニケーションは取りやすかった」
そして迎えた皐月賞。ドゥラメンテは2枠2番に入った。
「返し馬の時、もしも1番の馬がすぐにいなくなって、先頭で歩くことになったらイヤだなと思っていたんですけど大丈夫でした。GIなのでファンも多いし、エキサイトする可能性も考えましたが、落ち着いていたし、リラックスしていましたね」
本馬場入場から返し馬、そして待機所での輪乗りの様子では、ドゥラメンテはかなり大きくクビを上下に振って、興奮しているようなそぶりを見せていた。そのことを聞いてみると、
「ああ、あれはこの馬のクセです。調教の時もやっていたし、特に興奮しているサインではありません。あれは彼の普段の姿なんです」
その言葉通り、ゲートも落ち着いていたし、レース中も引っかかることなく後方でしっかりと折り合っていた。
しかし、3、4コーナーで内側からジワリと上がって来ると、次にカメラに映った時には大外を走っていた。この外側への急激な斜行は、何が原因だったのだろうか。
「手応えも良くて、いいレースになるなと思いながらコーナーで上がって行きました。その時、仕掛けたら急激に外にふくれてしまって…。僕が考えている原因の一つは、