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ダービー直前! 亀谷×小島が「東京競馬場の馬場」をしゃべりつくす!(3)

  • 2015年05月28日(木) 17時59分


亀谷×小島対談の“良いとこどり”な動画はコチラ



雨が降ったとき、馬場が乾いたときのポイント



小島 あと気にしてほしいのが、雨が降った時ですよね。6月ぐらいになってくると、梅雨が影響して来ることが増えるので。
私が調べた範囲だと雨がレース当日に降った場合、朝方とか、昼間とか、そういう時は力の要る馬場になりやすいので、差しとか、中団の馬とかがくる確率が、パンパンの良馬場に比べると上がる傾向。パワータイプが良い。ただし、前日(土曜)に雨が降って日曜日に雨が止んで、晴れて気温が上がっていく場合は、逃げ先行が台頭していくというのはありますね。


亀谷 これは馬場と芝の構造上内から乾くと考えていいですよね?

小島 それはありますよね。芝コースで馬が走ると馬群が内側に密集しやすいので、どうしても内側から芝が取れちゃったり、薄くなったりするじゃないですか。
そうすると、そこに雨が降って、雨が止んで、太陽が降り注ぐと、芝の表面積が少ないので、路盤に太陽がより当たるわけです。そうなると、やっぱり芝が少ない内側から乾くというのは、ある意味基本というか。

亀谷 芝が薄くなっている方が、路盤が乾きやすいのは当然のことですね。

小島 そう。それで真ん中にいっぱい芝がふさふさ残ったりすると、その芝自体にまだ水分が残っているので、芝が少ない内側に比べると、芝の太陽の光が内側までに当たるのに時間がかかります。そういうことでやっぱり内側が乾きやすい。

東京競馬場


亀谷 もう1回確認すると、芝の長さというのは、走破時計には直接的な影響は少ない。けれども、一部だけ芝が短くなったり、芝だけがなくなっていて、茎が残っている部分はどうしても出てくるじゃないですか。
そういうところの方が、乾きやすい傾向はあると?

小島 まあ、それはあります。

亀谷 結果として芝がないところの方が時計が出やすくなるという。だから、内が伸びるという現象が出る時もあるのかなというのは?

小島 うーん……極論だと……

亀谷 そう。超わかりやすく、極端な表現ってことで(笑)

小島 まあ、そうだとは言いきれないと思いますが……

亀谷 小島さんは、芝管理のご苦労を知っていますからね。あんまり、馬場で誤解を招くような発言は……ね(笑)

小島 ええ(苦笑)。でも物理的に考えても、(雨あがりの時は)芝が薄い方が乾きやすいというのはありますよね。

亀谷 そうですね。じゃあ、あとは自己判断ということで。ギャラリーの皆さんはどう思ったかな? まず「芝は削れているコースの方が伸びるなと」思ったことある人? どうですか?

(ギャラリー反応なし)

亀谷 あんまりそこまで考えてなかった? ごめんなさい(苦笑)。

小島 いや、でもね、これは東京に限らず、雨上がりの芝というのは内から乾く傾向にあるというのは頭のどこかに置いておくといいですよね。

亀谷 そうですよね。たとえばエプソムカップ
東京の最終に行われるんだけど、昔は外有利だったんだけど、今はもうインコースばっかり来ますから。
これは、前よりも茎が丈夫だから。エクイターフとかでね。茎は丈夫だけど、芝はどうしたってなくなっちゃう。そうすると、先に話したように内が伸びやすくなる。

小島 まあ蹄で切れたりしますからね。あとボコッと取れちゃったりすることもありますから。

亀谷 うん。だから、これは僕の考えと捉えてもらって構わないんだけど(笑)
芝そのものは走破時計というよりも、路盤の水分を補給する要素だという認識なんです。だから、芝が短いと時計が出るというのは、僕からすると芝の密度がなくなっているから時計が出るのと一緒の意味なのかなとは。

小島 うーん……。でも結局、影響するのは路盤の状態ですよね。

亀谷 そう。

小島 (芝が短くなったり、薄くなった部分は)路盤の水分が乾けば走りやすい。イコール時計が出やすい時もあるかも(笑)くらいの認識でいいのではないでしょうか。

今年もやっぱり“内枠馬”に注意が必要!



小島 あと今年、芝のG1レースは高松宮記念から始まって、桜花賞、天皇賞・春、NHKマイルカップ、ヴィクトリアマイル……

亀谷 あと皐月賞も。

小島 皐月賞もそうで、(今年のここまでの芝のG1レースは)全部内枠の馬が勝っていますよね。
※収録は5月18日に行われた

亀谷 この傾向はもう最近ずっとですよね。

小島 だから、やっぱりこの傾向は押さえていた方が良いですよね。2枠や3枠。内枠の馬ばかりが勝っているということは1つ覚えておいた方がいい。だから、8枠の馬を本命にするというのは、私はあんまりしないですね。

東京競馬場


亀谷 ほら、昔は有利だったからね、外枠が。昔はG1というのは大抵、開催最後の方にやるものだから、昔は開催が進むほど芝は内が傷むことが多かったけど、最近の競馬というのはいろいろな要素で、開催が進むほど内が伸びやすくなる傾向があると思う。

小島 内が伸びやすくなるというか、私の考えだと、エクイターフなどの効果で傷みにくくなっていると。そうすると、開催が進んでも内も外もそんなに遜色ない。だったら、競馬はコース競技なわけだから、内を回った方が有利という考えですね。ダービーも1枠はやっぱりこれだけ来ているので、今年も忘れずに押さえたいなと。

亀谷 今の馬場は内が傷みにくい。どの方々にもマイルドに表現すると(笑)

小島 それでよろしくお願いします(笑)

馬場傾向から導く「ダービーで狙いたい馬」は?



亀谷 じゃ、今の東京芝でどういう馬を買うか。という結論ですけど、僕はヴィクトリアマイルとかを見ているとダービーも例年通りになるのかなと。
土曜に関しては、今年は様子が違うな。と思った日が多かったけど日曜日はだいたい例年通りなんですよね。
だったら例年通りの傾向で予想すればいいんじゃないかな。
これまでの話を聞いていても、特別なことをしたというよりは、今までの試みが影響している。競馬場(の馬場)は1日1年で作れるものじゃないので。この何年間かの積み重ねによって今の現象が出て来ていると思う。
それでも、日曜はあんまり変わっている印象はない。特別な事をしていないということが分かったのだから、日曜の競馬に関しては今まで通りのダービーの狙い方でいいのかな。と自分の中では思っているんですけど。

小島 私は去年ほど、速いタイムは出ないというのも踏まえつつ、まあでも天気が良くなって気温が上がって行けば、やっぱりある程度先行、中団にいる馬がやっぱり抜けて来るというケースがやっぱり多いので、私もそういう意味では亀谷さんと同じで、時計が少しかかる可能性もあるけど、基本、去年と同じような狙い方でいいのかなと思います。
先行から中団タイプの馬を軸に据えて、後方待機とかは抑えに回すとか。もちろん逃げ馬もきちんとちゃんと押さえて、という感じで。

亀谷 そうね。ただ、馬場の調節とかを意図的にやることはない。というのはよく分かっているんですけど「思ったより出ちゃったな」という印象はないんですかね。あのヴィクトリアマイルの時計。

小島 ヴィクトリアマイルはレアケースですよ。ミナレットが1000mを56 秒9で飛ばしていますし、それはあれだけの時計で飛ばして、最後もそんなにバテていなくて3着に残っているぐらいですから。それは速い時計は出ますよね。

ヴィクトリアマイル

▼今年のヴィクトリアマイルは18番人気のミナレットが3着に逃げ粘った(撮影:遠沢好子)



亀谷 いや、僕、ジョッキーも結構あわを食ったんじゃないかなと思って。
ほら、土曜日までの傾向だと、逃げ馬は止まるだろうっていう印象もあったのでは?
だって、ミナレットが飛ばして残っちゃったのは事実なので。「思ったより止まらないな」という印象は終わってからあったと思うんですけどね。

小島 (ミナレットに乗っていた)江田騎手は(馬場よりも)「ノーマークで行けたことに尽きる」って言っていましたよ。

亀谷 (馬場云々じゃなくて)ノーマークで逃げちゃえば、ハイペースでも走りやすいってことですかね。

小島 というか、ヴィクトリアマイルで時計が速くなったのは、Bコース替わりだったということもあると思います。例年Bコース替わりでは少し時計が速くなる傾向なので。あとは(前日の)土曜日に雨が降って日曜日は晴れて気温が高くなり、午後になるにつれ、含水率が低くなり馬場が乾いていっていたと思うんです。
そうすると、内側がより走りやすくなることもありますから、やっぱり先行馬に向く馬場になっていたんじゃないかなと、思いますけどね。

亀谷 乾いた馬場で縦長の競馬にすると(ハイペースでも先行馬が)残りやすい?

小島 だから(苦笑)。それは一概には言えないですよ。ヴィクトリアマイルは、レアケースだとは思います。

亀谷 特殊過ぎた?

小島 ただ、全体的に言うと、差し、差しがメインで決まる馬場でもないですよね。(ペースにもよりますが)先行〜中団の馬が馬券圏内に残る馬場なので、馬券の確率を上げるためにも、先行、中団ぐらいから軸を選ぶのが的中に近づく作戦かなとは思いますね。

「しゃべり場」まとめ&感想



小島 いや、しゃべりましたね。

亀谷 いやー。長くしゃべりまくったから、途中でギャラリーの子が入れかわっちゃったりとか(笑)。

小島 皆さん、興味を持ってくれたでしょうかね?

亀谷 じゃあ、感想でも聞いてみましょうか?

Aさん 僕は馬場の状態は全く知らなかったので、だいぶ勉強になりました。

亀谷 じゃあ馬場を今まで気にしないで馬券買っていたってこと?

Aさん あんまり、雨とか、晴れとか気にしないで買っていたので。

亀谷 馬場の要素というのは、あんまり大事じゃないと思っていたというか。

Aさん 大事なのは大事だなとは思ったんですけど。だから、ちょっとこの本を買って……。

亀谷 おおっ(笑)。

小島 自分から言ってくれましたね。

亀谷 よし(笑)じゃあ、次の方どうぞ。

Bさん 実は僕これ、発売日の次の日に買って。

亀谷 おっと、ついにマニアが!

小島 おおっ。やったー。ありがとうございます。

Bさん そうしたら、なんかちょっと、専門用語というか、よく分からないのが出てきて。どことなく理解できていないところがあったんですけど。いろんな具体例とか(が今日聞けて、理解が深まりました)。

亀谷 おお。改めて、本のどのページあたりを読み直してみようと思った?

Bさん 振り返ってもう1回見る必要があるのかなと思ったのが、暗渠管がどこに入っているかというところ。

亀谷 なるほど。あと、課長の経歴が載っているのも参考になるよね。それは、俺だけ?

小島 では、そろそろ…いいですか(笑)いやー。しゃべりましたね。

亀谷 まあ、僕にとっては、序の口なんですが。聞いてるお客さんが疲れて来ちゃったのでね(笑)。

小島 でも、これぐらい馬場というのは、語り始めたら止まらない。まだしゃべり足りないぐらいですから。
今後もいろいろな記事を取材して書いて行きたいと思っていますので、引き続き、より馬場に興味を持って勉強して行っていただけると、馬券が当たる確率が増えるかも! (笑)しれませんので、ぜひ興味を持っていただきたいなと思います。今日は皆さん、長時間ありがとうございました。

亀谷 どうもありがとうございました。




亀谷敬正
血統馬券予想理論「血統ビーム」の提唱者。netkeiba.comでは「血統ビーム的傾向と対策」を連載中。最新著書に「重賞ビーム2015」。

小島友実
「馬場のすべて教えます」を2015年4月に出版、全10場の馬場を歩き、馬場に関する造詣を日々深めている。ラジオNIKKEI「中央競馬実況中継」、グリーンチャンネル「トラックマンTV」 にレギュラー出演するなど、幅広く活躍中。

『馬場のすべて教えます 〜JRA全コース徹底解説〜』
【著書】小島友実
【ページ数】208ページ
【定価】1620円+税
【発売日】4月15日(水)
【発行】主婦の友社
【判型】A5判

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