▲宝塚記念回避となったエピファネイア、その出会いからを振り返る
「これは大変なことになったな…」
上半期を締めくくる宝塚記念で久しぶりに騎乗する予定だったエピファネイアだが、6月10日の追い切り後、左前脚に繋靭帯炎を発症していることがわかり、再度休養に入ることになった。
チャンスは十分だと思っていただけに残念だが、こればかりは仕方がない。当面は治療に専念し、またあの力強い走りを見せてほしいと思う。
エピファネイアといえば、アメリカから帰国してすぐに出会った馬であり、自分の騎手人生に転機をもたらした馬。あのときのダービーで味わった悔しさが、秋の菊花賞勝利、そして今の自分にもつながっていると思っている。
初めて調教で跨ったのは、確かデビュー1カ月前の坂路。お母さんはあのシーザリオだけに、当然楽しみも大きかったが、期待に反してドタドタとした重い走りだった。今だから言えるが、「ひょっとしたらダート馬かな」というのが最初の印象。デビュー戦(10月21日・京都芝1800m)当日の返し馬の走りも相変わらず重く、1番人気に推されていたものの、正直あまり自信はなかった。
が、いざレースで走らせたら、道中の立ち回りもうまく、直線も少し仕掛けた程度で“ビュン!”と突き抜け、3馬身差の圧勝。追ってからの体の使い方が別次元で、「ダート馬」という戦前のイメージは一瞬にして吹き飛んだ。今でも思うが、“モノが違う”とは、ああいう脚をいうのだろう。
▲京都の新馬戦を快勝したエピファネイア
当時からパワーはあったが、どちらかといえば乗りやすい馬だった。