父ステイゴールドのためにも
ゴールドシップ(父ステイゴールド)の、歴史的な3連覇がかかっている。取り巻く状況は、条件が揃い過ぎて「かえって危ないのではないか」、と思えるほどゴールドシップ有利に傾いている。
京都の天皇賞・春を制したとはいえ、レース全体が高速の時計勝負になったり、上がり33秒-34秒台の切れ味勝負になることは歓迎したくない同馬にとって、中間の雨も、例年通りのタフな芝も大きなプラスである。梅雨時の阪神らしいタフな芝は、2200mの距離以上のパワーや、スタミナを要求する。最近10年のレース上がり平均は「36秒19」であり、最高が35秒2にとどまる。
前回から再び横山典弘騎手とのコンビが復活したのも大きい。お互いの理解は深まり、ゴールドシップが自分のリズムで、気分良くレースに集中できる可能性が高くなった。
有馬記念とはだいぶ異なり、トリッキーなコース(距離)設定ではないことと、ファン投票のトーンが出て欲しい馬が票を集めがちな方向に向かわないことが関係するかもしれない。投票上位馬は、現在の力関係がストレートに示される。ファン投票1位で、実際のレースでも1番人気に支持された馬は、最近10年の宝塚記念で【3-2-0-0】である。
スタートダッシュがつかないことの多いゴールドシップは、多頭数で内枠を引くのは歓迎ではない。リズムに乗るのに時間がかかってしまう。でも、外枠なら他馬は関係なくロスは少ない。一昨年は10番(11頭立て)、昨年は11番(12頭立て)だった。今年は15番(16頭立て)である。出来過ぎのような外から2番目に、陣営から「枠順まで文句なし」のコメントが飛び出した。
人びとの気持ちや、心が読めるのではないか、といわれるステイゴールド産駒の、ファン投票によるグランプリレースの良績は半端ではない。季節や、馬場状態も関係するが、ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタなどで「宝塚記念」を5勝。オルフェーヴルなどで「有馬記念」を4勝し、グランプリ【9勝】である。
これは、サンデーサイレンスの「8勝」、ヒンドスタンの「7勝」を超えて史上最多勝利。ヒンドスタン、サンデーサイレンスは、歴史的なチャンピオンサイアーだが、ステイゴールドは、上位に顔を出してきた2009年以降でも「12→14→6→3→6→10→4」位であり、大種牡馬ではない。でも、有馬記念と、宝塚記念では、サンデーサイレンスさえ上回っている。まだ、今年の2歳を入れて3世代がこれから出走する。ここ数年の産駒は、ステイゴールドの愛した「あまり有名でも、名門の出身でもない牝馬」とのあいだに生まれた産駒ではない。常識的には、まだ、ゴールドシップ、オルフェーヴル級が出現して不思議はない。グランプリレースの勝ち鞍は、今回の宝塚記念で10勝となり、数年後には、12、13、14……と伸びている可能性さえあるのである。
グランプリレースの勝ち鞍を中心に、自分を「超える産駒」を送るステイゴールドは、不世出の名種牡馬となり、サンデーサイレンス分枝の「ステイゴールド系」を発展させることに、実際に成功しつつある。
ゴールドシップは、自身の未来のためには当然、父ステイゴールドのためにも、条件の揃ったここは負けたくない。ゴールドシップのグランプリ成績は【3-0-2-0】。暮れには有馬記念もある。古馬中・長距離のチャンピオン級は駒不足なので、来年も現役ではないかという説(噂)もあったりする。
切れ味を生かしたい牝馬勢は、早めに動くことはなさそうなので、間違いなく先行する
カレンミロティックと、行く気になればハナを切れそうな伏兵
ネオブラックダイヤを相手の本線にしたい。