◆古川助手「今年の方が状態もいいですし、ゲートさえうまく出てくれれば」
無敗でNHKマイルCを制した馬が、初のダート、それもGIへの挑戦。2013年フェブラリーSへのカレンブラックヒルの参戦は大いに注目を集めた。結果は15着大敗に終わったわけだが、パドックの時点で担当の西口厩務員は馬の異変を感じていたという。
「ダートのGIともなれば、500キロを超える筋骨隆々の戦車みたいな馬ばっかり。そんな中に入ってレースをするのは初めてだったので、パドックで萎縮してしまった。ダート適性うんぬんより前に、気持ちですでに負けていたね」
カレンブラックヒルに限らず、この手の話はよく耳にする。もしかするとダート重賞で牝馬が牡馬相手に活躍するケースが少ないのも、同じように精神的なものが影響しているのか…。
「いやいや、一緒にしないでくれ」と言わんばかりなのが、GIIIプロキオンS(12日=中京ダ1400メートル)にコーリンベリーを出走させる古川助手で、「僕の馬はこれまで牡馬相手にヒルんだりしたことはないし、レースで力負けしたこともないと思ってます」。
確かにその通りかもしれない。初めて牡馬のトップクラスとぶつかった今年のフェブラリーS。スタートでつまずき、馬群の中でモマれ通しの厳しい競馬になりながら、最後まで抜群の手応えを見せていた。直線で一度もムチを使えるシーンがないほど、前が詰まり通しだったため0秒5差10着に敗れたが、まともなら際どいレースになっていたと思っているのは坂路野郎だけだろうか。
「去年のプロキオンS(9着)にしても、使いづめで硬さが出ていました。しかも出遅れてしまって…。テンからスンナリ逃げることができていれば、違った結果になっていたはず。今年の方が状態もいいですし、ゲートさえうまく出てくれれば」(古川助手)
サマリーズと“紅二点”での出走となるコーリンベリーが強豪牡馬を難なく蹴散らして、前走の交流重賞(かきつばた記念)に続き、今度は中央重賞初Vを決めてしまうかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)