◆アドマイヤラクティが急性心不全でこの世を去ったことを知ったパートンは馬房を訪れ泣いていた
昨年11月末、梅田厩舎の鹿戸助手はわざわざ有給休暇を使って、ワールドスーパージョッキーズシリーズで来日していたザカリー・パートン騎手(32=オーストラリア)のいる東京競馬場へあいさつに行ったのだそうだ。「オーストラリアではいろいろお世話になったから、そのお礼にと思って」(鹿戸助手)
アドマイヤラクティのオーストラリア遠征で手綱を取り、見事GIコーフィールドカップ(10月18日)を勝ち取ったのがパートンだった。
「よく馬のことを研究してくれていて。向正面で外に出して、長く脚を使う特長をうまく生かす競馬をしてくれた。ほぼ完璧なレースだったと思う」
次走のメルボルンカップ(11月4日)で最下位に敗れた直後、急性心不全でこの世を去ったアドマイヤラクティ。それを知ったパートンは馬房を訪れ泣いていたという。
「人としても素晴らしいし、ポジション取り、追うテクニックなど技術も素晴らしいジョッキー。今度また日本に来るんでしょ。ウチの馬にもぜひ乗ってもらいたいね」
そう、“ナイスガイ”パートンが今週から8月9日まで短期免許で来日する。昨夏、短期免許で来日した時は中京開催での2週間弱(7月20日の5R新馬戦騎乗後、左かかとの古傷が悪化。その後の騎乗を取りやめ、帰国した)で6勝、勝率3割という驚異的な成績を残し、短期間ながらも「パートン旋風」を巻き起こした。
今春も高松宮記念をエアロヴェロシティで勝つなど、日本での存在感は増すばかり。身元引き受けとなる池江厩舎では、土日の中京メーン(土曜マレーシアC=リヤンドファミユ、日曜ジュライS=トゥザレジェンド)を筆頭に、今週の出走馬のほとんどに騎乗してもらう予定だとか。
パートン旋風再び。初っぱなからオーストラリアのナイスガイから目が離せそうにない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)