最近のハンデ戦は、実績馬に対し寛容なハンデがつく傾向がある。既に60キロといった斤量は姿を消して久しく、それ未満のところでも、理屈より500グラム軽いハンデがつくことが多い。
今回の中京記念だと、GI勝ちがあり58キロでGIIIを勝っているカレンブラックヒルは59キロではなく58.5キロ。もともとの持ちハンデが56キロだったところからGIIを勝ったレッドアリオンは58キロではなく57.5キロ、といった具合だ。
上にいくと500グラム刻み、は最近の傾向で、例えばサダムパテックは58キロで中京記念を勝ち、京成杯AHでは58.5キロだった。
この「500グラム」、実際にはどのように機能しているのだろうか? 2010年以降に行われたハンデの芝GIII(牡馬・セン馬のみ)を対象に見てみよう。
斤量 着度数 勝率 複勝率 単回収率 複回収率
56.5kg [1-0-2-5] 12.5% 37.5% 35 56
57kg [19-16-13-154] 9.4% 23.8% 85 96
57.5kg [8-4-7-49] 11.8% 27.9% 84 70
58kg [7-7-5-34] 13.2% 35.8% 76 114
58.5kg [1-1-0-6] 12.5% 25.0% 43 5
59kg [0-1-1-1] 0.0% 66.7% 0 156
勝率・複勝率のピークは57.5〜58キロあたり(59キロはさすがにサンプルが少なくて参考にならない)。56.5キロも一見高いが、これはサンプル8頭のうえに3歳限定戦であるラジオNIKKEI賞のアンビシャスが含まれている。複勝回収率は57、58、59キロが高く、500グラムを刻んだ馬が低い構図になっている。
ただ、単勝20倍未満の馬に限ると、57.5キロも[8-4-7-29]、回収率が単119%・複100%と高い。近走に好走がある57.5キロならアリということか。58.5キロは同じ条件でも[1-1-0-5]で、回収率は単50%・複62%となっている。
こうしてみると、ハンデGIIIの牡馬は57〜58キロがスイートスポットというように思える。このレンジで単1.0〜19.9倍の馬は回収率が単106%・複96%と高い。これより軽い側は実績不足を乗り越えなくてはならないし、これより上はハンデによるリスクが出てくる。
今回の中京記念で57〜58キロの牡馬は3頭のみ(うち500グラム刻みでないのは2頭)。このうち単勝20倍を切ってくる馬には注目したい。